2019年08月24日

氷の王子は花の微笑みに弱い 終章06【完】


 サディアスが深呼吸をしたのがわかった。雄棒を雌口に押し当てられる。
 彼の肉竿が沈んだ直後は、痛みはなかった。
 圧倒的な存在感を放ちながら、サディアスの肉茎が初々しい隘路を拓いていく。

「――っ!!」

 その瞬間は突如としてやってきた。
 強烈な痛みが脳天を突き抜け、手足の先までその痛みを伝える。痛覚が涙腺を刺激して、目から水粒があふれる。堪えようと思っても、涙を抑えることができなかった。
 サディアスの眉間に苦しげな皺≪しわ≫が寄る。

「アリア――」
「愛しています、サディアス様」

 彼が「すまない」と言おうとしているのがわかって、あえて言葉をかぶせた。
 痛みよりも愛情のほうが遥かに勝るのだと言いたかった。
 微笑んでみせると、サディアスは困ったような笑顔を返してアリアの目じりに溜まった涙を拭った。
 サディアスはじりじりとゆっくり己を進め、アリアの行き止まりに達する。
 それから彼はしばらく動かなかった。少しも身じろぎせず、アリアのようすを伺う。

「……痛みは、どうだ?」
「引いた、ようです」

 するとサディアスはおもむろにうなずき、腰を揺すりはじめた。
 それまで必死に耐えていたらしく、余裕のない表情を浮かべて陽根を前後させる。

「あっ、あぁ……ッ!」

 先ほどは「痛みは引いた」と言ったものの、じつのところ完全にそうだったわけではない。チリチリとした痛みはまだ残っていたが、彼に一突きされるたび快感のほうが大きくなっていった。
 律動がすっかり激しくなる頃には、ほとんどが快楽で埋め尽くされていた。

「は、あ――っ、アリア……ッ」

 生温かななにかが頬に落ちてきた。それが彼の汗だということに気がつくと、抽送が勢いを増した。

「あぁ、あ……ッ、サディアス様……!!」

 呼び返すのと同時に、蜜洞が蠕動≪ぜんどう≫した。
 サディアスはアリアの狭道に精を吐き出して果てる。
 「はあ、はあっ」と荒く息をしながらサディアスはアリアの隣に横たわった。
 アリアはしばらく動けなかったが、汗だくのサディアスを見てふと思い立つ。
 シーツの上を這いつくばって端へ移動し、引き出しからハンカチを取り出した。

「あの、どうぞ……お使いください」
「ああ、ありがとう」

 サディアスは横になったまま、嬉しそうに微笑んで額の汗を拭った。アリアはドキドキしながらそのようすを見守る。

「ん――?」

 サディアスの碧い瞳がハンカチの端――猫の刺繍を見つめている。

「これは……猫だな。きみが刺繍したのか?」

 アリアは上ずった声で「はい」と答える。

(よかった、猫だとわかってもらえた)

 サディアスの表情が一変して、晴れやかなものになる。

「上手になったじゃないか!」

 ハンカチを持ったままアリアの体を抱きしめ、頬ずりをした。

「このハンカチ、俺が持っていてもいいか?」
「はい。その……サディアス様のために刺繍しました」

 おずおずと言うと、サディアスはとろんとした笑顔になってアリアの頭を撫でた。

「俺の可愛い新妻。アリア……愛している」

 重ねられた唇は、いままででいちばん熱を持っていた。



「アリア、お願いだ」

 翌日のこと。アリアは困り果てていた。

「サディアス様……! ですから、それは」

 サディアスは両手に何枚もの衣服を持ってアリアに詰め寄ってくる。なんにでも刺繍を施して欲しいと所望され、困っている。
 アリアは両手を前に持ってきてぶんぶんと首を左右に振る。
 いくらなんでも上着に――そのような目立つ箇所に刺繍をするのは、憚≪はばか≫られるのである。


おわり

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※次回作の更新日は未定です。
posted by 熊野まゆ at 05:34| 氷の王子は花の微笑みに弱い《完結》

2019年08月17日

氷の王子は花の微笑みに弱い 終章05



「ふ、あぁ――ん、うぅ……っ!」

 湿潤な媚肉の行き止まりを、グルグルと円を描くようにしてかきまわされる。ぐちゅ、ぐちゅっと聞きなれない水音が立つ。

「きみのなかはよく潤んでいると思うが――」

 不意にサディアスが言葉を発した。アリアの太ももをつかんで押し開く。

「破瓜の痛みが少しでも軽くなるよう、もっと濡らしておかなければ」

 そう言い終わる頃には彼はアリアの脚の付け根の前に顔を置き、準備を整えていた。
 両脚を左右に大きく開いた状態で、その中央にサディアスの顔がある。羞恥心を煽られるには充分すぎるほどだ。

「サディアス様……ッ!」

 咎めるような調子で呼びかけても、彼は退かなかった。それどころか赤い舌をのぞかせて、いっそう近づいてくる。

「ぁ、そっ、そのような――あ、あぁっ!!」

 ざらついた舌先が花芽の下端に触れて、小さく蛇行しながら反対側の端まで這い上がる。それを何度か繰り返された。

「ふぁ、うぅっ……あぁ、んぁあっ……!」

 いままでだって気持ちがよかった。けれど、もうこれ以上はないと思うくらいいま、快感が高揚している。
 サディアスの舌が花芯から滑り落ち、まわりの溝をたどりはじめた。そうされることで淫核が揺さぶられ、それはそれでまた快楽に拍車がかかる。
 恥ずかしさよりも気持ちよさのほうが圧倒的に勝≪まさ≫っていた。
 サディアスは素早く舌を動かして珠玉を舐め転がし、快楽に溺れるアリアを追い立てる。

「あぁ、っん、あぁあ――……!」

 官能の極みは絶叫とともに訪れた。
 彼の舌に触れられているところが、意思とは無関係にビクン、ビクンッと脈動する。
 体が波打つこの感覚が病みつきになってしまいそうで怖いと思うのに、恐怖心すらきっと快楽の一助になっている。

「ああ……外にまであふれ出してきた」

 アリアは口もとを押さえて下を見やる。サディアスは相変わらずすぐそばにいた。秘部を間近で見つめ、蜜口からあふれた愛液を指で掬っている。

「……!」

 アリアがうろたえているあいだにサディアスは下衣を脱ぐ。羞恥で絶句していたアリアだが、今度は彼の猛々しい一物を目にしたことでまたも言葉を失う。

(こ、こんなに大きいものなの……!?)

 天井を向いてそそり立つそれは太く、見るからに硬そうだった。
 それが、自分のなかに入るのだとはにわかに信じられない。先ほどは彼の指ですらいっぱいいっぱいに感じていたのだ。

「……アリア」

 低くかすれた声で呼びかけられる。
 彼は、これからひとつになることを確認しているのだと思った。
 アリアはコクリとうなずく。
 はじめてつながり合うときは痛むものだとガヴァネスから教わった。それがわかっているだけに身構えてしまうが、心にあるものは恐ればかりではない。

(私も……本当は、この日を待ち望んでいたのかも――)

 身も心も彼のものになるこの日を、きっと心の奥底で渇望していた。
 だからこそ、辺境伯のもとへ送られたとき必死に逃げてきた。
 彼の隣に自分以外の女性が立つのを、許せないと思った。

(サディアス様を、ひとり占めしたい)

 アリアは両手を伸ばし、彼の腕をつかんだ。手にはさほど力をこめられなかったが、『私もあなたを求めている』ということを少しでも示したかった。

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posted by 熊野まゆ at 06:15| 氷の王子は花の微笑みに弱い《完結》

2019年08月10日

氷の王子は花の微笑みに弱い 終章04



「あ、くすぐったい……っ、です」
「んん」

 サディアスはふたたび舌をのぞかせて、アリアのふくらみに頬ずりをしながら、先ほど舐めたのとは別の、乾いているほうを舌先でつつく。

「はぅ、う……んん」

 じっくりと舐≪ねぶ≫られると、素早くそうされるときとはまた違った――じれったい快さに苛まれる。
 彼の唾液に濡れていた左側の屹立を二本の指で挟まれ、その中心をグニグニと押し込まれる。
 アリアが脚を擦り合わせると、サディアスの左手が脇腹から腰を撫でて付け根へと伸びていった。ドレスの白布をかき分けて、揺れ動く秘所に潜り込む。
 彼の手がそこに入り込んできたからといって、脚を広げることはできなかった。そんなことをしたら、さも「さわって」と言わんばかりだ。
 アリアが脚を閉ざしたままでも、サディアスは気にかけず和毛を人差し指に絡め、親指で割れ目をたどった。
 秘裂はなかの蜜が染み出して濡れていた。サディアスは口角を上げて悦ぶ。
 指先が裂け目の表皮を緩慢に往復する。徐々に沈み込んで、やがて淫核に達した。
 快楽の源を右へ左へとなぶられる。アリアはなぶられるたび「ひぁっ、あぁっ!」と高らかに喘いだ。
 サディアスの指先が触れているところがジンッと疼いて熱くなる。
 花核を撫でつけるように押しなぶられると、下腹部が潤みをたたえていくのがよくわかった。
 サディアスは蜜壷に指を挿し入れ、なかの具合を確かめる。

「ふゎっ……!」

 突然の異物感に頓狂な声を上げてアリアは翡翠の瞳を大きく見開く。

「痛むか?」

 アリアは首を横に振る。
 痛みはない。驚いて、妙な声が出てしまったのだと言いたかったが、彼の指が体のなかに沈んだ状態ではうまく言葉を発せなかった。わずかでも指が動けば、そこから快感の波が生まれて広がり、思考を鈍らせる。
 中指は濡襞の状態を慎重に確かめながら奥へと進んでいく。

「んく、うぅっ……」

 隘路がどれほどの長さなのか、アリアにはわからない。ゆえに、サディアスの指がどんどん奥へと進んでいくことに焦燥感を覚えた。

(どこまで入っていくの……!?)

 いったいどれだけ奥行きがあるのだろう。そこに指を沈められるだけでも恥ずかしいというのに、いつまでも指が突き当らないのでますます羞恥心が募る。
 恥ずかしさを紛らわそうと顔を両手で隠すと、サディアスの中指が行き止まりにたどり着いた。

「ンンッ!」

 最奥をつつきまわされ、いやがうえにも呼吸が荒くなり、喘ぎながら肩で息をする。

「きみのなかは窮屈だな……。それに、熱い」

 囁きかけられると、体の内側をくすぐられているような心地になった。いや、事実、そのようなものだ。体内に指をうずめられ、最奥を小突かれている。

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posted by 熊野まゆ at 14:20| 氷の王子は花の微笑みに弱い《完結》

2019年08月03日

氷の王子は花の微笑みに弱い 終章03


 上半身が自然と傾いて、ベッドに仰向けになる。サディアスはアリアの胸を揉み込みながら覆いかぶさり、首筋をきつく吸い立てて所有の印をつけた。
 チロチロと肌を舐めながらふくらみのほうへ下りていき、薄桃色の玉を口に含む。

「んぁっ!」

 アリアの全身が飛び跳ねても、サディアスは構わずつぼみを舐めしゃぶる。
 ちゅうっと音が立つほどに吸われると、触れられていないほうのいただきもツンと尖るので世話がない。
 サディアスはこの日を心待ちにしていたと言った。アリアもまた同じ気持ちだったのには違いないが、寝室をともにする今夜は緊張が先に立っていた。
 しかし、そういった強張りはものの見事に溶かされてしまった。優しく触れてくる手と舌は慈しみにあふれている。
 ひとりでに尖っていたほうの胸飾りを指でこねられる。
 激しくとも、痛みはない。彼はこちらの反応をいつも気遣ってくれる。サディアスの視線がそれを物語っていた。アリアの顔や両手、足の先に至るまでを常に観察している。そうしてときおり「平気か?」と言葉でも確認してくれる。
 アリアはうなずくことしかできないが、彼の心遣いが身に染みて愛情が際限なくあふれてくる。
 アリアは喘ぎながら手探りをして、サディアスのナイトガウンの紐を解こうとした。

「ん――?」

 いっぽうサディアスはアリアがなにをしようとしているのかわかっていなかった。

「サディアス様、も……脱いで」

 小さな声で言うと、サディアスは驚いたように目を大きく見開いたが、それは一瞬のことで、すぐに笑みをたたえて「そうだな」と答えた。
 ナイトガウンの腰紐を手早く解き、そのなかに着ていた上衣を脱ぐ。

(そういえば、サディアス様の裸を見るのって……はじめて)

 あまりジロジロと見てはいけないだろうかと思ったが、こちらはいつだって穴が開きそうなほど見られているのでいいだろう。
 アリアは彼の上半身に目を向ける。思いのほか――と言っては失礼だが、胸板は厚くがっしりとしている。いまさら、彼が馬上で弓を射ることを日課にしているのを思い出した。
 たくましい裸体に見とれて惚けていると、サディアスは唇を引き結んだ。

「……きみはいつもこんな心地なのか」

 サディアスはにわかに頬を赤くして、

「きみが灯りを消したがった気持ちが、少しわかる」

 そうして、隠すようにアリアの胸に顔をうずめた。

「ふ、うぅ」

 幼な子がイヤイヤをするように――甘えるように首を左右に振られると、柔らかな金糸が素肌をくすぐる。

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posted by 熊野まゆ at 05:18| 氷の王子は花の微笑みに弱い《完結》

2019年07月27日

氷の王子は花の微笑みに弱い 終章02


 サディアスがベッド端に腰掛けたので、アリアはその隣に並んで座った。

「博愛主義を貫かねば、と思っていたが」

 唐突にサディアスが話しだす。

「口うるさくそう言う者たちはもう、いなくなっていた。幼少期の刷り込みにこだわっていた己が馬鹿らしい」

 サディアスは自身の膝に片肘をついてうなだれ、手のひらで顔の半分を覆ってちらりとアリアを見やる。

「そのことに気がついていれば、きみともっと早く……堂々と一緒に過ごせたのに」

 アリアは穏やかな笑みを浮かべ、彼の右手に自分の左手を重ねた。

「サディアス様が日夜ご公務に励み、功績をお上げになったからこそ、だれも文句を言わないのではないかと――私は思います」

 言ってしまったすぐにアリアは発言を後悔した。

「よくわかりもせず偉そうなことを言って申し訳ございません。その……とにかく、サディアス様は素敵で素晴らしいのです!」

 両手にこぶしを作って豪語すると、サディアスはきょとんとしたあとで照れたように首を傾げて笑った。

「ありがとう、アリア。きみのおかげだ」
「私は、なにもしていません」
「そんなことはない。出会ったときからずっと、きみは俺の支えなんだ」

 顎を掬われ、性急に唇を奪われる。同時に、白いナイトドレスの上から胸をまさぐられた。

「もしかしたら俺は……きみと遭遇したあの瞬間から、この日を待ち望んでいたかもしれない」

 サディアスは「待ちきれない」と言わんばかりに、ナイトドレスの中央に結われて磔≪はりつけ≫にされていた蝶を解き放つ。

「きみのすべてを手にいれる今宵を、永く心待ちにしていた」

 胸の前のリボンを解かれるとナイトドレスは全体が一気に緩む。シュミーズやドロワーズなど下着の類≪たぐい≫はいっさい身に着けていない。
 ドレスを肩から落とされれば、すぐに乳房が明るみに出る。
 アリアはいまになって、部屋のなかがとても明るいことに気がついた。

「サディアス様、ランプの灯≪ひ≫を……」
「んん? 増やすか?」

 思いもよらぬ答えが返ってきたのでアリアは目を見張る。

「ふっ、増やすだなんて……!」
「俺はこれでも足りないくらいだ。もっと明るくして、きみの全身をくまなく眺めたい」

 ドレスを腰のあたりまでずらされる。するとサディアスはすぐに、露になった肌を両方の手のひらで確かめた。

「きみの肌はいつ触れてもなめらかだな……」

 感心したようすでつぶやき、ふくらみの稜線を登る。

「ん、ん……っ」

 いただきを指のあいだに挟まれて円を描くように揉み込まれるとそれだけで気持ちがよくなって体が蕩けだしてしまう錯覚に陥る。

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posted by 熊野まゆ at 06:00| 氷の王子は花の微笑みに弱い《完結》


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