2015年06月18日

今宵、お兄ちゃんに夜這いします。02


兄になるのだと紹介されたものの、ひとめぼれだった。
おかげで智香の青春は兄への恋慕しかなく、いまだに処女だし男性とつき合ったこともない。

すうすうと静かな寝息の友哉に対して智香の鼻息は荒い。緊張して大仰に呼吸しているせいだ。

(本当、まつ毛が長いな、お兄ちゃんは)

固く閉じられたまぶたを羨望の眼差しで見つめる。

「……ん」

大きくため息をついてしまったからか、友哉の目もとがピクリとわずかに動いた。
智香はあわてて顔を遠ざける。

(ど、どうしよう。やっぱりやめようかな、こんなこと)

友哉には女性として意識されていない。だからこそひとり暮らしの彼の家に泊まるのも許されるのだ。

このまま無難に兄妹関係を続けているほうが、長く一緒にいられるのでは――。

(ううん、でもやっぱりイヤ。お兄ちゃんが誰かのものになっちゃうなんて)

いつかはほかの女性と結婚してしまうだろう。
それよりも先に自分が兄を誘惑して、あわよくばと考えていまこんなことをしている。

(別の女のひとと付き合い始めちゃう前に、モノにしなくちゃ)

智香は口をタコのように尖らせて友哉の唇を目指した。
ソファの端をにぎりしめる両手が震える。

(あと、もう少し……)


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