2015年06月19日

今宵、お兄ちゃんに夜這いします。03


どくどくと胸を高鳴らせながら彼に顔を寄せる。

「……コラ、なにやってる」

「ぶっ」

大きな手のひらが智香のあごをつかむ。

「あっ、あの、お兄ちゃん……その」

幸いリビングは小さなオレンジ灯だけだから薄暗い。智香はとっさにソファの下へ身を隠した。

(って、隠れる必要なんかないのよ。このエッチな姿を見せて、お兄ちゃんをメロメロにするんだから……!)

切れ長の二重まぶたと目が合う。
その瞬間、智香は一気に怖気づいて身をすくませた。

「お兄ちゃん、えっと……」

「なんだー? まだ愚痴があんのか? 聞いてやるから、話せよ」

「そ、そんなんじゃ……。そりゃ、愚痴はあるけども、いまは……そうじゃなくて」

兄の友哉に仕事の愚痴を散々こぼしては、いつも慰めてもらっていた。しかしいまはそうではない。慰めなんていらない。

「じゃあ、何なんだよ、こんな夜中に……。ああ、のど渇いた」

もとから開いていたワイシャツのボタンをさらにふたつ、みっつとはずしながら友哉がソファにかたひじをつく。起き上がるつもりなのは明白だ。


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