2015年06月22日

今宵、お兄ちゃんに夜這いします。06


意を決して、素直に口をひらく。

「お兄ちゃんのこと、襲おうと思って」

「……ふうん?」

兄の右手が乳房から離れ、グラスをつかむ。友哉はなかの水をいっきに飲み干して、ローテーブルのうえに空のグラスを置いた。

「じゃ、どうぞ。襲ってください」

両手を広げてソファに寝転がる、友哉。ベッドにもなるこのソファは座面が広い。

緊張で手足が震える。兄がどういうつもりなのかわからなくて、戸惑う。それでも、このチャンスを逃してはいけないと思うから智香は積極的に動く。

「よい、しょ……」

つぶやきながら兄に馬乗りになった。さて、これからどうしよう。

「えっと、襲うって……なにすればいいのかな」

友哉の顔が妙な具合に歪んでいく。笑いをこらえている表情だ。

「とりあえず、キスでもしてみれば」

ふんっと鼻から息を吐いてうなずき、両ひじを折って顔を寄せる。両手はあいかわらずプルプルと震えている。

「……キスって、どうすればいいの?」

あと数センチの位置まで迫ったところで、智香はピタリと動きを止めた。
顔が熱い。キスひとつ満足にできないことが恥ずかしい。


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