2017年05月06日

秘されし、その甘やかな救済 第二章07



「え、っ……!?」

 ラティーシャはわけがわからない。
 マティアスの肉茎から噴き出した白濁液がラティーシャの胸を――透けた乳頭を濡らした。
 いまだに手の中にある雄の象徴はわずかにしぼんだものの、つかんだままでいたせいかまたふくらみ始める。

「……ありがとう、ラティーシャ。もう、じゅうぶんだ」

 マティアスは口もとを隠して頬を赤らめている。

(ええと……終わり、でいいのよね?)

 彼の一物を手放す。
 マティアスが恥ずかしそうに頭を抱えている理由がわからずラティーシャは首を傾げた。

「……俺はもう出て行くから、きみはバスタブに入るといい。ゆっくりしていてくれ。くれぐれも、ゆっくりだ」

 そう言うなりマティアスは湯桶を手に取りバシャッと頭から勢いよく自身に湯をかけ、しとどに濡れたまま浴室を出て行ってしまった。
 湯浴みを終えて寝室へ戻ると、マティアスはソファに腰掛けて晩酌を始めていた。

「付き合ってくれるか? ラティーシャ」
「はい」
「ではここに座ってくれ」

 純白のネグリジェを着たラティーシャがマティアスのとなりに腰を下ろす。彼のほうは濃いグレーのナイトガウンを着ていた。襟にはシュバルツ公爵家の紋がいくつも連なって細かく刺繍してある。
 ラティーシャはワインボトルを手に取ってマティアスが持つグラスに赤いワインを注いだ。酌は兄や姉たちによくさせられていたので勝手はわかる。
 マティアスはラティーシャが注いだワインをグイッといっきに仰いだ。よすぎるくらいの豪快な飲みっぷりだ。

「ああ……今宵の酒は格別に美味い。きみが酌をしてくれるだけで、この酒は極上品に早変わりする」

 もとからよい酒なのだから美味しいのだと思うが。
 しかしそれは口には出さず――よけいな茶々は入れずラティーシャはまた空のグラスにワインを注いで満たす。

「きみもどうだ?」
「いいえ、私はけっこうです」
「巫女見習いは飲酒してはいけない、という規則はないぞ?」

 マティアスはいつかのように得意げだ。

「公爵さまは神殿の内情にお詳しいようで」
「きみの兄さんからいろいろと聞いている。……なあ、その『公爵さま』というのはそろそろやめにしないか?」
「ですが……」
「マティアス、と呼んでもらいたい。頼む、ラティーシャ」

 ごく真面目な顔つきで懇願されては、そうせざるを得ない。

「……マティアスさま」

 すると彼は満面の笑みになった。上機嫌でグラスの酒を飲み干す。

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