2017年09月10日

御曹司さまの独占愛12【完】


 幸せそうにほほえむ彼につられて若菜もまた口もとをほころばせる。しかし、痛みがすぐに和らぐわけではなかった。和臣がぐっ、と腰を奥へ突き動かすと、つながっている部分にチリチリとした痛みがほとばしる。そうするつもりはなくても、顔をしかめてしまう。

「――すまない、僕ばかり喜んでしまって」

 薄暗闇の中で彼が悲痛な表情をしているのがわかった。若菜は目を見開き、彼と視線を合わせたまま何度も首を横に振った。

(ちゃんと伝えなくちゃ……私の正直な気持ちを)

 涙が出そうなほど痛いけれど、いま目頭に込み上げてきているそれは痛みによるものではない。若菜は深呼吸をした。そのあいだ、和臣はいっさい動かなかった。

「わ、私も……その……嬉しい、です。私は和臣さまのことが――す、好き……だから」

 驚いたようにピクリと動いたのは彼の腕か、あるいは自分の中に埋まっているそれのほうなのか。和臣の眉間に切なげなしわが寄る。

「そんなことを言われたら、僕は……っ」

 抑えがきかない、と小さな声で付け加えて彼が腰を揺すり始める。

「ふ、ぁ……っ!」

 猛々しい肉竿が若菜の隘路を往復する。ぐちゅっ、ぐちゅうっと聞くにたえない水音を発しながら肉茎は女壷を蹂躙していく。
 和臣は若菜の脇腹をすうっと撫で上げてやんわりとふたつのふくらみをつかんだ。

「若菜……痛みは、引いた?」

 ――痛み?
 忘れかけていた。彼の言葉で思い出した。それはきっと、和臣の言葉の通りだということ。若菜はコクッと素早くうなずく。

「そう――」

 彼の口角が上がったように見えた。本当にそうだったのか、そうでないのかはわからない。体の中に沈み込んだそれがいっそう激しく暴れ出す。どうやら和臣はいままで遠慮をしていたらしい。

「ぁ……あっ、んぁっ!」

 確かに、痛みはない。それ以外になにがあるのかと問われれば答えに窮する。体の内側を擦り立てられる感覚はじつに妙で、何度も何度もそうされるとしだいに頭の中がぼんやりとしてくる。
 自分自身を保っていたくて、若菜は「和臣さま」と呼びかけた。すると、彼の動きが一瞬止まって、そうかと思うと和臣は急に彼の切ない部分を引き抜いた。
 男根の先端から白濁液が噴き出し、若菜の太ももを濡らす。

「……あとで清める。だから……少しだけそのままにさせて」

 そう言いながら和臣は若菜のとなりに倒れ込むようにうつ伏せになった。自身の手の甲を枕にして、かたわらにいる若菜を眺めている。

「さて、式はいつにしようか」
「……四季?」

 若菜は仰向けのまま首を傾げる。なぜいきなり季節の話をし始めたのだろう。耳のすぐそばで「ふっ」と吐息だけで笑う声が聞こえた。

「きみと僕の挙式だよ。一生を添い遂げることを皆の前で誓う儀式」

 ――それって……結婚式!?
 若菜は勢いよく顔を横に向けて和臣を見る。彼はすっかりいつも通りの――飄々としていながらも悠然とした笑みをたたえていた。

「きみはさっき、僕とひとつになれて嬉しいと――僕のことが好きだと言ったね? では、そういうことだろう」
「で、でも……私はただの家事手伝いですし」

 すると彼の顔から笑みが消えた。いや、完全に消えたわけではない。薄くほほえんではいるものの、真剣さが伝わってくる、そんな表情だ。

「ただの家事手伝いのきみを、僕は愛している」

 和臣は極上の笑みを浮かべたまま続けて言う。

「誰が何と言おうと、きみはもう僕のものだ。絶対に逃がさない。覚悟しておいて」

 彼の手が頬へとまわり込んでくる。和臣は体勢を変えて横向きになり、若菜の頬を両手で覆った。
 唇が、重なる予感がした。


FIN.

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熊野まゆ

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posted by 熊野まゆ at 08:11| 御曹司さまの独占愛《完結》


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