2016年05月11日

いたずらな花蜜1-15


「――いまから俺がすること、ほかの誰にも言っちゃだめだよ」

 小さな子どもに言い聞かせるような口調だった。アリシアは「う、うん」と上ずった声で返事をした。
 彼の手が、伸びてくる。バスローブごしに太ももを撫でる手はまるで探しものをしているようで、遠慮がちだ。

「フィース……」

 アリシアが名を呼ぶ。フィースの喉もとがゴクリと動く。
 バスローブの裾からするりとなかへ彼の手が入り込んだ。太ももの内側をたどって這い上がっていく。

「……っ」

 極めて妙な心地だった。いまだかつて経験したことのない、ぞくぞくとした疼きが全身を駆け巡る。

「っぁ……!」

 脚の付け根に到達され、疼きがいっそうひどくなった。
 ためらいがちに、しかし明確に、ぬちゅっと水音を立てて指がぬかるみに浅く沈み込む。

「すごく……濡れてる……」
「ぅ、う……っ」

 なにかがあふれているところの入り口をフィースは指でくすぐるようにしてまさぐった。くちゅくちゅ、という音が自分の体から聞こえるのだとは、にわかに信じられない。
 アリシアは両腕を胸にぎゅうっと押しつけ、もじもじと内股をこすり合わせた。

「……アリシア、もう少し脚をひらいて。さわりづらい」
「ふ、ぇ……っ?」

 フィースはどこか恍惚とした表情を浮かべて、身を縮こまらせているアリシアに言った。

「う、ん……」

 戸惑いつつ、ほんの少しだけ脚をひらく。するとフィースの指は、湿っているところの上に移動した。割れ目になっている部分を指の腹でぞんざいに撫であげられる。

「ひぁっ!?」
「……ごめん、いやだった?」
「や、え……っと」

 いや、というのとは違う。どちらかというと――。

「あ、あの、私……どうなってるの? フィース、わかる……?」

 アリシアは目を伏せて尋ねた。そんな彼女にフィースは端正な顔を寄せる。

「もう少し、さわってみないことには……なんとも」
「そ、そう、なの……?」
「うん。……だから、あと少しだけ」

 秘所で止まったままだった彼の指が動き出す。

「……っ! ぁ、う……ッ」

 割れ目をえぐる勢いで指が大胆に動く。フィースの指は存在感がありすぎる。丸みがなくゴツゴツしているせいだ。
 そんな武骨な指が、割れ目のなかの突起をつまんだ。

「あっ……!」

 つい大きな声を出してしまい、恥ずかしくなって口もとを押さえる。

「声……我慢しなくていい。聞かせて、もっと」
「う、ぅぅっ」

 フィースはアリシアの秘所で眠っていた花芽を指でつまんで執拗にこねた。喘ぎ声とともに漏れる吐息すらも、聞き逃したくないと言わんばかりに彼女の口もとに耳を近づける。


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posted by 熊野まゆ at 05:52| いたずらな花蜜《完結》

2016年05月13日

いたずらな花蜜1-16


 ごく近いところで見つめられ、どきりとする。フィースの眉根はわずかにシワを刻んでいる。

「もっと聞きたい。アリシアの可愛い声を」
「……っふ」

 ――おかしい。下半身だけでなく、頭のなかまで熱くなってきたような気がする。

「あ、ぅ」

 アリシアは言いよどみながら、次の言葉を探す。

「そ、れも、必要な……こと?」
「……いや。ただ聞きたいっていうだけ。俺が」

 ぎゅううっ、と下半身のそこを強く引っ張りあげられた。

「んぁっ……!」

 もたらされる明らかな快感に当惑する。アリシアはなまめかしく顔をゆがめてフィースに尋ねる。

「どう、して……っ?」
「そこは、聞かないで」
「〜〜っ! も、わけが、わからない――」

 涙目になっているアリシアを見つめながらフィースは指の動きをいっそう激しくさせた。淫核を上下にこすりたて、身もだえする彼女をこれでもかといたぶる。その口角は、わずかだが弧を描いていた。

「ンンッ、ぅ、う――……!!」

 アリシアは両手で自身の口を覆って、ビクビクと体を震わせた。
 フィースには声を抑えるなと言われたが、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。自分のものとは思えない、甘ったるい声を聞かれたくはなかった。

(な、なにが起こってるの……?)

 はあ、はあっと息を荒げるアリシアの頭をフィースがそっと撫でる。

「……まだ、おさまらない? その……ムズムズするっていう感覚は」
「え、と……」

 正直なところ、自分でもよくわからなかった。しかし、まだ疼きは残っている。消え失せてはいない。
 アリシアはコクンとひかえめに一度だけうなずいた。

「じゃあ……ナカに指を挿れるよ。楽にしていて」
「な、なか……って、どこ?」
「きみの、ナカだよ」

 フィースの、いままでに聞いたこともないような低いかすれ声が耳朶をくすぐる。

「あ、ぁ……っ!?」

 指が、沈み込んでいく。いったいどこに向かってそうなっているのかわからない。じゅぷぷっ、というひどい水音とともに角ばった指が体のなかを突き進む。

「……すんなり入った。狭くて温かくて、気持ちがいいな……アリシアのナカは」
「い、言わない、で……。なんだかすごく、恥ずかしい」
「ん……、ごめん。つい」
「……っ。フィース……」

 なぜ彼はこんなにも楽しそうなのだろう。とろんとした目つきでほほえんでいる。

「指、動かすよ」
「……っえ!?」

 動かされるとどうなるのか、アリシアは知らない。うんともいやとも言えずに、ただ身がまえるしかなかった。

「あ、あの……。ん、ん……っ!」

 緩慢に、彼の指が前後に滑り出す。

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posted by 熊野まゆ at 05:17| いたずらな花蜜《完結》

2016年05月14日

いたずらな花蜜1-17


「は、ぁぅっ、う……ッ!!」

 往復し始めた指が内側をこするたびにビリビリと全身が疼いて、どうしようもない快感に包まれる。漏れ出る甘い声を抑える余裕はかけらもない。
 アリシアは高らかに、快楽に溺れてなまめかしく喘ぐ。
 いっぽうのフィースは愉しそうに嗤う。
 彼の視線は突き刺さるようで、いたたまれない。いままさに指を挿れられている、秘めたところを見られているわけではない。そこはバスローブの裾に隠れたままだ。
 フィースはアリシアの顔を凝視している。

「み、見な……で……っ! ぁ、ァ」
「え、なに? よくわからない」

 翡翠色の瞳を細くしてフィースはわざとらしくとぼけ、アリシアに追いうちをかける。

「水音がすごいね。きみのナカ……ぐちゃぐちゃだ」
「――っ!!」

 目も耳も、塞いでいてほしいと思った。
 フィースの言葉に羞恥心をあおられて、よけいに蜜奥が潤むのだが、アリシアにはそういうことがまだ理解できない。
 いけない反応をしているのだという背徳感ばかりがあふれ、主体性のない快楽にひたすらのみ込まれる――。

「きゃっ!? ぁ、あ……っ。そ、こ……ッ」

 太い親指に突き上げられたのは、割れ目のなかにある小さな豆粒だ。

「ココが、なに?」
「うっ、く……ぅぅっ」

 そこに触れられると、足先がいっそうムズムズと甘くしびれる。先ほどさわられたときよりも、さらに敏感になっているような気がした。内側をまさぐる指の動きとあいまって、言いようのない快感がほとばしる。

「……っ、アリシア」

 フィースはアリシアの片脚を押し上げてひらき、指の動きを速めた。
 なにかが、せり上がってくる。自分では制御できない、なにかが。

「ひぅっ、う、あぁぁ――……!!」

 体の内側を核に、ビクンビクンと全身が痙攣する。

「………」

 フィースは絶頂したアリシアをしげしげと眺めたあとで、ゆっくりと名残惜しそうに彼女のナカから指を引き抜いた。

「――あ。瞳の色が、もとに戻った」
「……っ、え?」

 アリシアは乱れた呼吸のままフィースに訊く。

「それって、どういう……こと?」
「きみの瞳、さっきまで萌黄色だったんだ。気のせいでは、ないと思う」
「そうなの……? わ、私、どうしちゃったのかな」

 胸もとに手を当て、小刻みに体を震わせるアリシアをフィースがそっと抱きしめる。

「大丈夫。大丈夫だから……。明日、母さんに相談しよう」
「う、ん……」

 彼の体は温かく、心が休まった。眠気に襲われる。
 どれくらい、そうして抱きしめてもらっていたのかわからない。
 急に温もりが消えた。アリシアが目を開ける。
 フィースはベッドを抜け出してどこかへ歩いていくところだった。

「……どこに行くの?」

 何気なく尋ねると、フィースはひどくうろたえた。

「う、あ……っ、ええと……ちょっと、用を足しに」
「そう……」

 アリシアはふたたび目を閉じる。彼が戻ってくるまで起きていようと、このときは思ったのだが――。
 フィースがベッドへ戻ったのは、アリシアが眠りに落ちてしばらく経ってからのことだった。

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posted by 熊野まゆ at 05:27| いたずらな花蜜《完結》

2016年05月15日

いたずらな花蜜2-01


 秘密の花園を訪ね、川の橋が流され雨に降られたことで王城に戻れなくなり、町の宿屋で一夜を明かした翌朝は、昨日の雨が嘘のように晴れていた。
 早朝に宿屋を出発したアリシアとフィースはひとまずアッカーソン侯爵邸へ向かった。
 フィースはアリシアをともなって王城へのぼるわけにはいかなかった。
 なにせ朝帰りなのだ。したがって、フィースの実家であるアッカーソン侯爵邸でアリシアを待機させ、彼女が城を抜け出すさい、まわりに告げていた嘘の目的地――キャサリンの屋敷へ使いを出して、ともに城へ行ってもらうという算段だった。


「――あ……っ、キャサリン!」

 フィースが操る馬でアッカーソン侯爵邸へ戻ったアリシアは、裏門の前に立っていたキャサリンを見つけて声を張り上げた。
 フィースの手を借りて馬を降り、キャサリンと向かいあう。

「――姫様! よかった、ご無事で……」

 キャサリンは安心しきったようにホッと息をつき、懐中時計をドレスの隠しポケットにしまった。

「ルアンドが私の屋敷を訪ねてきたんです。昨日の夕方と、それからつい先ほど、二回も。姫様は一緒かとしつこく聞かれて、『私の屋敷にいる』と彼には言ったのですが――」

 つい嘘をついてしまい、しかしアリシアの所在が気になったキャサリンは昨日の夕方、アッカーソン侯爵家の家令にアリシアがフィースとともに出掛けていることを確認していた。
 しかし朝になってもアリシアが戻っていないことをルアンドが訪ねてきたことで知り、侯爵家の家令からもふたりがまだ戻らないと聞いて、ここでアリシアたちの帰りを待っていたのだという。
 アリシアはキャサリンの冷えきった手を両の手のひらで包み込んで謝る。

「キャサリン、ごめんなさい……! 私、あなたの家へ泊まりに行くって嘘をついて、それで――」
「ええ、ルアンドには一応うまく言っておきました。……でもたぶん、バレてると思いますが」

 眉尻を下げて、困り顔でほほえむ彼女の顔色はあまりよくない。いったいどれくらいの時間、ここでこうして待っていてくれたのだろう。
 アリシアは何度も「ごめんなさい」と口にして、そして後悔した。むやみに城を抜け出すべきではないし、まして嘘はよけいにいけない。ひとつの嘘が自他ともに嘘を呼ぶ。まわりに迷惑ばかりかけてしまう。
 目に見えて落ち込むアリシアをフィースはかたわらで見つめていた。

「――キャサリン。朝食、まだだろ? よかったら屋敷で食べて行って」

 目にうっすらと涙を浮かべているアリシアの頭をポンッと軽く叩きながらフィースが言った。
 キャサリンはしばし逡巡したあと、「ではお言葉に甘えて」と答え、アリシアの肩に手を添え彼女と一緒に屋敷のなかへ入った。

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posted by 熊野まゆ at 05:38| いたずらな花蜜《完結》

2016年05月16日

いたずらな花蜜2-02


 アッカーソン侯爵邸で朝食をとったアリシアはキャサリンとともに王城へ戻った。
 案の定というか、ルアンドにはこっぴどく叱られ、父と母――国王と王妃にもクドクドと説教をされ、アリシアは反省しきって公務に励んだ。
 夕方、ようやく暇をもらえたアリシアはフラフラとした足取りで城の廊下を歩いていた。

「――アリシア」

 そんな彼女を、フィースが物陰から呼び止めた。

「フィース! どうしたの? こんなところで」

 フィースはまわりをうかがいながら話し始める。

「いま、ひとり?」
「ええ……。今後は絶対に無断で城を出ないって何度も誓わされて……。いままで通りひとりで歩かせてもらえるようになったの」

 ルアンドはアリシアに四六時中、見張りをつけるべきだと父に進言していたが、アリシアは父の肩をいままでの十倍は時間をかけて揉むと密約を交わしてなんとか回避した。
 城の警備は外敵に関しては厳重だ。みずから城の外へ出ないかぎりは安全だと、父も考えているのだと思う。

「――そっか。ごめん、俺のせいで……。ずいぶん叱られたんだろ」
「フィースのせいなんかじゃないよ! 私が、いけなかったの」
「………」

 フィースはしばらく黙ってアリシアを見つめていた。

「……フィース? どうかした?」
「あ、いや……。アリシア、いま少しいいかな。母さんに、城に来てもらってるんだ。きみの診察を頼んだ」
「……っ、そう! そうだったわ」

 過酷な説教と、積み重なった公務に追われてすっかり忘れていたのだが、昨夜の『体調不良』はまだだれにも相談していない。他言しづらいというのもあるし、それに――。
 昨夜、フィースは言っていた。彼との『あれ』はふたりだけの秘密なのだと。

「……っ」

 昨夜の記憶が――感覚が、にわかによみがえり頬が熱くなる。

「アリシア?」
「……う、うん」
「奥の応接室にいるから。俺の母さん」

 アリシアは声もなくうなずいて、フィースのうしろをぎこちなく歩いた。

 廊下の突き当たりにある応接室にはフィースの母親で、医者でもあるクレア・アッカーソンの姿があった。
 診察の途中で城へ来たらしく、白衣のままソファに腰掛けている。

「クレア!」

 アリシアは彼女の名を呼びながらソファに駆け寄り、隣に腰をおろした。
 クレアは脚を組み直してほほえむ。

「久しぶりね、アリシア」
「本当ね、クレア。いつ振りだろう。……ごめんなさい、忙しいのにわざわざ来てもらって」
「いいのよ、気にしないで。あなたは娘みたいなものなんだから。それに、ほかの患者の診察はジェラルドに任せてきたから大丈夫」
「そうなの?」

 アリシアはあいづちを打ち、ジェラルドの顔を思い浮かべた。最近はまったく顔を合わせていないので、幼いころの彼しか知らない。
 フィースの父親であるフレデリック・アッカーソンは侯爵位と伯爵位のふたつを所有している。クレアはアッカーソン侯爵夫人でありながらノースヴェイン地方の伯爵領で医者をしている。ジェラルドというのは、彼女の二番目の息子――フィースの弟のことだ。彼はアリシアよりもひとつだけ年上の17歳だが、国内最年少で医者の免状を取得した優秀な青年である。

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posted by 熊野まゆ at 05:44| いたずらな花蜜《完結》


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