2016年12月02日

たなぼた王子の恋わずらい11


 叫び出してしまいたい衝動に駆られた。身の内から何かがあふれてきている気がしてならない。そしてそれは勘違いではなかった。

「――っ!?」

 いつの間にかアーウェルの顔が胸のあたりまできていた。彼の片手も体を下降して、脚の付け根を這いまわる。

「……綺麗だ」

 いったい何が、と聞き返す余裕などない。アーウェルの指が下肢の陰なるところを撫でたどっている。そこを指でなぞられると焦りに似たむずがゆい心地が体の端々へ広がった。

「はっ、ぁ……!」
「それによく濡れている。きみは俺が思っていた以上に――」

 そんなところで言葉を切らないで欲しい。まして最後まで聞けないとなると、彼の真意がわからずじまいでモヤモヤしてしまう。

「私……っぁ! へ、変……ですか?」

 やっとの思いで尋ねる。アーウェルが息を漏らして微笑したのがわかった。

「とても魅惑的だよ。ずっと裸でいて欲しいくらい」

 言いながらアーウェルは指と顔を動かす。陰唇を撫でまわしていた指は蜜口へちゅぷりとわずかに沈み、しかしすぐにそこを去って花芽へ向かう。

「あ、ぁっ!」

 赤い髪の王子様が胸の先端を舐めしゃぶっている。いけないことのような背徳感を覚えたけれど、下半身のある一点をこすり立てる指の動きが激しさを増していくせいでうやむやになった。
 そこはきっと快楽の源だ。押しまわされると腰がひとりでに揺れてその気持ちよさに悶え踊る。こんな反応をしてよいものかと悩む。とてもはしたないことのように思える。声だけでも抑えようと口に手を当てた。

「ンッ、ふ……んぅっ」

 それでもなまめかしい声がとめどなくあふれ出す。自分で自分が制御できないことが口惜しい。

「……はぅっ、あぁ!」

 ジュルッとひときわ大きな水音が響いた。乳頭を強く吸い立てられ、もう片方の薄桃色は指でなぶり倒される。下肢の肉粒をまさぐる指も上半身に負けず劣らず激しい。
 なにかがせり上がってくる。耳に入るのは喘ぎ声と水音。その両方ともが他人事のようだった。現実味がない。夢を見ているのではないかと思う。

「……――っ!!」

 その瞬間は不意に、突然やってきた。下半身がドクンドクンと脈を打っている。達成感のようなものが湧き起こり、体はさも疲れたと言わんばかりに弛緩する。力が入らない。
 カトリオーナは呆然と天蓋を眺めていた。自身になにが起こったのさっぱりわからず、戸惑いしかない。

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posted by 熊野まゆ at 08:23| たなぼた王子の恋わずらい《完結》

2016年12月03日

たなぼた王子の恋わずらい12


 いっぽうアーウェルは粛々と衣服を脱いでいく。

「……きみのせいでココの形が変わってしまった」

 カトリオーナと同様に裸になったアーウェルが自身の下肢に手を添えて言った。責めるような口調ではなかったが言葉の意味としては間違いなく責められている。

「わ、私のせいで……? ごめんなさい」
「真に受けないで。冗談だよ、半分は。きみを責めてるわけじゃない」

 アーウェルが哀しげに笑う。

「カトリオーナ、きみのすべてを手に入れたい」

 両脚をつかまれて左右に割られている理由がわからない。これから何が起こるのだろう。

「――俺と契って欲しい」

 室内は薄暗いというのに、赤い髪と碧い瞳のコントラストがいっそう際立って見えた。
 いまになって両親の言葉が思い出される。

『なにをされても拒んではいけない』
『いやなら拒んでいい』

 カトリオーナはゴクリと喉を鳴らした。

(いやじゃ、ない――)

 だから受け入れる。この選択は両親の言いつけをやぶることにならない。
 もっと彼を知りたいと思った。求めてやまないのだ。彼と触れ合っている部分が熱く焦がれて、アーウェルを欲している。何が起こるのか、何をされるのか具体的なことはわからない。怖い気持ちがないと言ったら嘘になるけれど、それ以上にもっと先へ進みたいと思った。
 カトリオーナはコクンとうなずいた。本当は言葉できちんと返事をしたかったのだが、発することができなかった。ひどく緊張しているせいだ。

「んっ……」

 脚のあいだに何かをあてがわれた。ピリリとした痛みに見舞われる。

「……すまない、カトリオーナ。ナカをほぐしてからのほうがいいに決まってるけど」

 短く息を吸う。痛みはどんどん大きくなっていく。到底おさまりきらないものを無理にねじ込まれているような、そんな感覚だった。

「……っ、待てない」

 その言葉と同時に壮絶な痛みが全身を突き抜けた。あまりのことに言葉が出ない。その代わりに涙があふれ出る。

「……っ、ふ。うぅっ」

 嗚咽が出るのをこらえる。しかし痛いものは痛い。涙が止まらない。
 ぼやけた視界に映り込んでいるのは眉根を寄せた赤い髪の王子様。彼も痛いのだろうか。尋ねたいけれどそんな余裕はない。
 アーウェルはしばらく微動だにしなかった。初めに体のナカを引き裂かれるような感覚がして、そのあとも痛みはジンジンと尾を引いていた。ただ、アーウェルが髪の毛や頬を撫でてくれたので幾分か気がまぎれた。
 どれだけの時間が経ったのかわからない。髪を撫でていたアーウェルの手がふくらみの先端をめがけて伸びてきた。こちらの反応をうかがっているような、慎重な手つきだった。

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posted by 熊野まゆ at 08:21| たなぼた王子の恋わずらい《完結》

2016年12月04日

たなぼた王子の恋わずらい13


 双乳のいただきをふたつとも指でつまみ上げられる。

「んっ」

 こすり合せるような指遣いは官能的で、下半身の痛みを和らげてくれる。

「……もっと奥まで進むよ」
「は……、んっ! ぃ……っ」

 返事をしたつもりだがおそらく伝わっていない。カトリオーナはコクコクと小さくうなずく。
 また痛むのだろうかと身構えた。しかし思っていたほどの痛みはなかった。

「ぁ、あ」

 鈍痛とともに体内の異物感が増していく。体の中に埋め込まれているこれは、何なのだろう。寝所での作法に関する知識は皆無だ。何もかもが初めてで、右も左もわからない。しかしきっとアーウェルが導いてくれるのだろう。

「カトリオーナ、俺の名前を呼んで」

 先ほども似たようなことをリクエストされたような気がするが、素直に従う。

「ァ、アーウェルさま」

 すると彼は険しい表情になった。何がお気に召さなかったのだろう。

「こんなに深くつながっているのにまだ『さま』なんてつけるんだね。いけないな」
「で、でも……っぁ、あぁっ!」

 カトリオーナのナカに埋め込んだ楔をアーウェルは奥深くで小刻みに律動させる。

「呼び捨ててくれるまで何度でも奥を穿つよ」
「ゃっ、あ……!」

 アーウェルは額にわずかばかり汗をにじませてカトリオーナの体を肉杭で突いて揺さぶる。

(私、どうしちゃったの)

 体の揺れが激しくなるにつれて、つままれたままの乳頭にも力を込められている。ついさっきまで痛みにむせび泣いていたはずなのに、いまはべつの感覚に泣かされている。気持ちがよくて、涙が出る。
 痛みは完全に消え失せたわけではない。しかし快感のほうが圧倒的にまさっているのだ。
 アーウェルの顔はグラグラと不安定に揺れている。そんなふうに見える。自分も彼も激しく動いているからだ。
 ポタリと何かが落ちてきた。アーウェルの汗だ。それから自身も汗だくだということに気がついた。とにかく暑い。彼とつながっているところに至っては灼熱だ。火がついてしまうのではないかと思ってしまう。

「カトリオーナ……ッ」

 いままでこれほどまで情熱的に名前を呼ばれたことがあっただろうか。

「ぁ、う……っ、んんっ!!」

 呼び返したいとは思えどやはり言葉が出てこない。それどころが意識が朦朧としてきた。
 ――カトリオーナはその後も長らくアーウェルに翻弄され続けた。

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posted by 熊野まゆ at 07:53| たなぼた王子の恋わずらい《完結》

2016年12月09日

たなぼた王子の恋わずらい14


 まぶたを開けているのがやっとという状況だった。
 いま目の前には滑らかで厚い胸板がある。森で初めて出会ったときのことを思い出した。まだそう昔のことではない。

「……これでようやく仕事が手につく」

 小さなつぶやきは穏やかで、安堵しきったようすだった。カトリオーナは「え?」と尋ね返す。

「きみに出会った日から俺はきみのことばかり考えていて、仕事がまったく手につかなかったんだ。それで、侍従に言われた」

 アーウェルの発言を待つ。何を言われたのだろう。

「俺は恋わずらいをしているらしい。だから早く想い人を手に入れろ、と」

 頬に添う手は熱い。極上とも思える微笑を浮かべて顔をのぞき込まれ、頬が急激に熱を帯びた。赤くなっているであろう顔を隠したいけれど、両頬を大きな手のひらに挟まれているのでかなわない。

「ああ……きみの顔を見ていたらまたしたくなってきた」
「そ、れは……先ほどのことを、また……?」
「うん。いいかな」
「……っ!!」

 カトリオーナの胸の先端を指でこね、さらには下半身の割れ目を人差し指でなぞりながらアーウェルは彼女の出方を待つ。

(こ、こんな……)

 こんなふうに体をまさぐられては「いやだ」と言えない。いまになって気がついたが、アーウェルは一貫して有無を言わさぬ聞き方をしてきている。

「カトリオーナ」

 彼は意思が強い。それに引き換え自分はどうだろう。アーウェルの気持ちに応えねばと思ういっぽうで、自分がどうしたいのかもよく考えた。

「私も……したい、です」

 カトリオーナの声はとても小さかった。震え声になってしまったのは羞恥心からだ。
 アーウェルが破顔する。嬉々とした表情のまま、カトリオーナの乳頭を指で丹念にこねながらアーウェルは言葉を継ぐ。

「挙式はいつにしようか」
「……えっ!?」

 きつねにつままれたような顔をしているカトリオーナをアーウェルは不満気に見下ろす。

「なぜそんなに驚くんだ。……まさかカトリオーナ。ほかに将来を誓った相手でも?」
「い、いいえ! そんなかたはおりません」

 しかしアーウェルとも誓った覚えはない。

(もしかして……契って欲しいっていうのがそうだったのかしら)

 だとしたら、あまりに安易にうなずいてしまった。

(王太子妃が私なんかでいいの?)

 隣国の伯爵令嬢などで果たしてよいのだろうか。

「……っ、あ」

 アーウェルは哀しそうに眉根を寄せた。カトリオーナの秘玉を指でつつく。

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posted by 熊野まゆ at 08:56| たなぼた王子の恋わずらい《完結》

2016年12月10日

たなぼた王子の恋わずらい15【完】


「きみが俺と結婚してくれないのなら、俺はまた役立たずのたなぼた王子に戻ってしまう」
「そ、そんなこと! いえ、その……私などでよろしいのですか?」
「きみがいいんだ」
「で、でも……出会ってまだ間もないのに」

 カトリオーナは目の前のことで手一杯だった。一日でも先のことを考えている余裕がない。この後のことすら不透明だ。

(私がアーウェルさまの寝室でこんなことをしていると周りに知れたら)

 彼に迷惑をかけることになるのではないかと急に不安になってきた。いまさらだ。
 カトリオーナは思案顔でうろたえる。そんな煮え切らない彼女をアーウェルがまくし立てる。

「確かにそうだが俺はほかの誰も知りえないきみの淫らな姿をすでに知っている」

 アーウェルの両手が、その表情が艶っぽさを帯びる。

「っ……!!」

 陰唇を指で押し広げたアーウェルは中で眠る豆粒のご機嫌うかがいをした。

「ぁ、ん……っ!」
「ココをこんなふうにこすり立てればきみは少女の殻を脱ぎ捨てて官能的な表情を見せる」

 花芽をこする指の動きが加速する。

「そしてこれからも、きみのこんな姿は俺だけのものだよ、カトリオーナ」
「ぁ、ああぁっ!」

 それは一瞬のことだった。痺れるような快感は瞬時に高まり、下半身が脈動した。
 大きく上下するカトリオーナの胸もとをしげしげと眺めながらアーウェルは言う。

「俺がすぐにきみをいちばんよく知る人間になるさ。だから安心して俺の妃になって欲しい」
「わ、私も……アーウェル、さまの……いちばんになりたいです」
「それはすでに達成しているよ。俺はきみしか見えてない。国務をすべて放棄してしまいたくなるくらい」

 ああ、これは夢なのではないだろうか。一目で虜になってしまった王子様が応えてくれている。あまりにも幸福で、そして幸運だ。

「……兄上も同じだったのかな」

 祭りの喧騒がわずかに届く彼方を見つめてつぶやくアーウェル。カトリオーナはそれには答えなかった。自分に答えを求めているふうではなかったから、ほほえむだけにした。

「……でも、本当によろしいのですか。ご婚約者さまはいらっしゃらないのですか? あるいは、その……」

 突然やってきた幸福がにわかに信じられないカトリオーナは不安ばかりが頭に浮かぶ。もしかしたら正妃ではなく二番目、あるいは三番目なのかもしれないと思った。それでも幸せなことには変わりないが、やはり欲が出る。自分だけが彼の妃にと望まれているのかどうか、確かめずにはいられなかった。

「出奔した兄のせいで忙しすぎてそんなものは後回しにしていた。だがいまはそれでよかったと思う」
「……でも」
「次に『でも』という言葉を使ったら手足を縛るよ」

 カトリオーナは目を丸くする。口はエサを食む魚のようにパクパクと動くばかりで言葉を発しない。アーウェルがその唇を人差し指でそっと撫でる。

「一目惚れなんて自分でも信じられない。でも、好きなんだ。きみを知れば知るほど、どんどんその度合いが増していく」

 いまだに驚いた顔をしているカトリオーナにアーウェルが覆いかぶさる。

「さあ、手足を縛るとしよう」
「――!?」

 なぜそうなるのだ。いましがた話をしていたのはアーウェルだ。

「わ、私は何も言ってません、よ?」
「俺が言った。きみがそれを言ったら、とは言わなかったよ」
「ええっ?」

 そんな理屈があるものか。それに、手足を縛られたらどうなるのだろう。彼は何をするつもりなのだろう。そんなことをされた経験はもちろんないのでまったく予想がつかない。
 冗談を真に受けて青ざめていくカトリオーナをアーウェルが気遣う。

「そういえば寝不足だと言っていたっけ。少し眠る?」
「いっ、いいえ! 眠れそうにありません。目覚めたら手足を縛られているのでしょう?」

 形のよい唇がどんどん弧を描いていく。ニィッと笑った顔は溌剌とした少年を思わせた。

「さあ、どうだろうね。眠っていいよ、カトリオーナ。俺は俺で好きにさせてもらうから」
「ひゃぅっ!?」

 カトリオーナの体をゴロンと転がしながらアーウェルも横たわる。横向きで後ろから抱きしめられる恰好になった。

「おやすみ、カトリオーナ」
「っ、アーウェルさま……ッ」

 アーウェルの両手が胸や脚の付け根あたりを這いまわる。
 寝かせる気なんてないのでしょうと言ってしまいそうになり、しかし思いとどまる。彼とはまだそこまで気安い仲ではない。アーウェルのほうは、違うのかもしれないが。

「きみの髪……すごく滑らかだ。なにか特別な手入れでもしてるのか?」
「え……っと。リルお姉さまに教わった方法で手入れをしています。お姉さまはいつもそうして美容法を教えてくださるんです」
「へえ。きみは義姉さんと仲がいいんだね」
「はいっ。リルお姉さまは私が幼いときからよく遊んでくださいました。お姉さまが森に住まわれてからはあまりお会いできませんが……いまでも大好きです」

 彼の手がピタリと動きを止めた。撫でまわされるのを心地よく思っていただけに、急にやめられてしまうと居心地が悪い。

「……アーウェルさま?」
「少し妬ける」

 カトリオーナの呼びかけにかぶせるようにアーウェルは言った。

「教えて。きみは俺をどう思ってる?」

 肌を撫でる動作が再開する。しかし今度は性急だった。カトリオーナの性感帯へとまっしぐらだ。

「ぁっ、やぅっ……!」

 ふくらみのいただきをつままれ、脚のあいだの肉粒をなぶられる。

「あ……っ。ぉ、お慕い、して……っん、ふぁっ」
「慕う? そんな程度なのか、俺は」

 落胆しきった声音だった。カトリオーナはあわてて弁解しようとしたが、彼の指が体のナカへ入り込んできたせいで喘ぎ声しか出せなくなった。

「あ、んぁぁっ!」
「確かにきみと知り合ったのはつい最近だけど、時間は関係ない。俺はきみを愛してるよ。片時も放したくない――」

 情熱的な愛の言葉はできればこんな状況でないときに聞きたかったと思ってしまうのは贅沢だろうか。
 カトリオーナは喘ぎながら思う。叔母であるリルの夫オーガスタスは奔放な男性だが、その弟であるアーウェルも決して負けてはいない、と。

FIN.

お読みいただきありがとうございました!

熊野まゆ

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posted by 熊野まゆ at 07:39| たなぼた王子の恋わずらい《完結》


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