2017年08月05日

御曹司さまの独占愛01


「――誕生日、おめでとう。やっと僕の手に入る」

 その夜、事は起こった。
 若菜《わかな》は明日が18歳の誕生日だということをすっかり忘れて床に就いた。日付が変わった頃にはすっかり深い眠りに落ちていた。
 午前零時を一秒だけまたいだときだった。
 聞きなれた声が聞こえて、急に体が重くなった。何事だろうと思って目を開ければ、そこには仕えている主人の顔があった。

「か、和臣、さま……?」

 体にしっかりと掛けていたはずの布団はどこかへ行っている。代わりに、この広大な邸の主人である東條 和臣《とうじょう かずおみ》が重くのしかかっていた。

(和臣さま、お部屋をお間違えになった?)

 和臣の寝室である奥座敷の次の間が、この邸に住み込みで働いている若菜の寝床だ。

「今日をずっと待ち望んでいたよ」

 和臣は端正な顔で笑みを形づくる。どうやら寝床を間違えているわけではなさそうだ。

「夢にだって何度も見た」

 若菜には彼がなにを言っているのかさっぱりわからない。

「和臣さま? あの……」
「きみはあまりにも鈍感だ。だから、実力行使をすることにしたんだよ」

 和臣の大きな手のひらが着物の上のふくらんでいる部分をつかんだ。若菜の体がびくりと跳ね上がる。

「ひゃっ!?」
「ああ……きみのここは触れたらこんなにも柔らかいんだね」

 和臣は若菜の着物の上からふくらみを両手でわしづかみにして円を描くように揉みまわす。ときおり指先に力を入れて、感触を確かめるようにぐにゃぐにゃとふくらみを押した。

「やっ!? あ、ゃぁっ……!」

 胸を揉みまわされているうちに着物の衿あわせが崩れてきた。和臣は胸をつかんだまま左右に手を広げて若菜の乳房をあらわにする。
 若菜は慌てて自身の胸もとを押さえた。

「和臣さまっ……! 酔っていらっしゃいますか?」

 酔っているのでなければ、真面目で温厚な彼が突然、豹変してしまったことの説明がつかない。

「……そうだな。そうかもしれない。きみに酔いしれている」

 そう言いながら和臣は闇色の着物の腰紐をほどく。彼の着物の裾がはらりと落ちると、隆々とした腹筋がのぞくのと同時にそのすぐ下に異様なまでに大きくそそり立つ肉塊があった。若菜は初めて目にする雄の象徴に驚いて顔を凍てつかせる。

「そんな目で見られると、いたたまれないな」

 和臣が哀しげに笑う。

(どうして、こんな……)

 兄のように慕っていた人。それ以外の感情は持ち合わせていない。雇い主に対してそのような感情を抱いてはいけない。
 ――私はただの家事手伝いなのだから。

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posted by 熊野まゆ at 05:46| 御曹司さまの独占愛《完結》

2017年08月06日

御曹司さまの独占愛02


 幸紐町《ゆきひもちょう》の東條といえばこの町の誰もが知る、古くからある家――いわゆる名家である。
 幸紐の大地主だった東條家は石炭の採掘によっていっそう財を成し、現在は病院や生鮮品店、書店などを幅広く経営する財閥だ。
 その八代目当主である東條 和臣は今年で二十八歳になる。彼は絵に描いたような美青年で、縁談がごまんと転がり込んでくるものの、和臣はだれとも見合いをしない。
 そんな彼が住まう邸は堀に囲まれた平屋建ての広大な家屋だ。外観は純和風の日本家屋だが応接間や食堂にはアンティークのシャンデリアが飾られている。
 和洋折衷の邸内とは異なり庭に至っては外観と同じく純和風の東條邸は風光明媚な庭園を有している。背丈の何倍もある灯篭や茅葺の東屋はじつに日本らしく奥ゆかしい。
 天涯孤独の前園 若菜《まえぞの わかな》はこの東條邸に住み込みで働いている。彼女の主な仕事は掃除と洗濯、それから主人である和臣の身のまわりの世話をすることだ。食事は板前が作るため若菜の範疇ではない。
 若菜はいつも夜明けよりも前に起きる。代々東條家に仕えてきた女中の家系の子孫である若菜は昔から変わらぬデザインのお仕着せに素早く袖を通して邸の掃除を始める。邸内はとても広いので、そうして早起きしなければ掃除が終わらないのだ。
 時計が七時をまたぐ前に若菜は奥座敷へ向かう。そこは主人の寝室だ。

「――和臣さま。ご起床のお時間です」

 座敷の中央に眠る眉目秀麗なご主人さまは決して寝起きがよくない。一度、声を掛けたくらいでは目覚めてくれない。若菜は身をかがめ、彼の耳もとで先ほどと同じことを言う。するといつも、和臣はくすぐったそうに身を震わせて目を開ける。

「ん……おはよう、若菜」

 ほがらかな笑みは輝かしく、後光が射しているのではないかと毎日錯覚してしまう。

「僕はきみの声でなければ目覚めることができない」

 彼が身を起こす。着物の衿もとが少し乱れているのはいつものことだが、いつ見てもドキリとしてしまう。
 和臣は目を伏せる若菜の頬に手を伸ばす。

「きみは今日も麗しい。愛しているよ」
「ま、またそのようなご冗談を」

 若菜はあいまいに笑い、「今日はどのスーツをお召しになりますか?」と尋ねながら彼の手を避けて立ち上がる。和臣が「冗談ではないんだけど」とつぶやく。しかし若菜の耳には届かない。
 座敷の隅に置かれた洋箪笥の観音扉を開き、中に掛かっているブランドもののスーツを漁る。和臣は「きみに任せるよ」と言って若菜のうしろに立った。

(ち、近い……!)

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posted by 熊野まゆ at 06:07| 御曹司さまの独占愛《完結》

2017年08月11日

御曹司さまの独占愛03


 うしろに立つ和臣との距離はほとんどゼロだ。彼の胸は背に当たるか当たらないかのところにある。

「そ、それでは……これを」

 若菜はどぎまぎしながら手近にあったスーツを物干しから取る。下を向いたままくるりとうしろを向き、「どうぞ」と言ってスーツ一式を手渡す。それからまた箪笥のほうへと向き直り、スーツに合うネクタイを選ぶ。そのあいだに和臣が着替えを済ませる、というのが毎朝のことである。
 頃合いを見計らって彼に歩み寄り、背伸びをしてネクタイを和臣の首にまわす。一日で、このときが一番緊張する。彼と間近で顔を突き合わせるこの時間が、どうにもこうにもいたたまれない。

「……明日が楽しみだ」

 穏やかにほほえみながら若菜を見下ろし、和臣がつぶやいた。

「明日、ですか」

 彼の予定を頭の中に思い浮かべる。

(明日はとくになにもなかったはずだけど……)

 和臣は明日もいつも通り仕事のはずだが、もしかしたらなにか特別な行事があるのかもしれない。若菜は詮索せず無難に「そうですか」とだけ返した。


 一日はあっという間に過ぎる。広い邸の掃除をして床へ就く頃にはいつもへとへとになっているものの、今日も一日やり終えたという達成感に満ちあふれている。
 若菜の眠りは深い。一度、眠ったらめったなことでは起きない。
 ――そう、めったなことでは。

「……っ!?」

 誕生日おめでとう、と言われたような気がした。だれかに体を踏まれている夢を見て、若菜はパチリと目を開ける。
 すると和臣は「今日をずっと待ち望んでいた」のだと言った。

(待ち望む、って……今日はなにか特別な日なの?)

 目覚めたばかりの若菜は主人である和臣に組み敷かれている理由がさっぱりわからない。そうこうしているうちに胸を揉まれ、着物の衿を左右に開かれてしまう。胸もとを押さえながら「酔っていらっしゃいますか」と訊けば、「きみに酔いしれている」と冗談めかした答えが返ってくる。
 そうして彼は自身の腰紐をほどいた。あらわになった彼の一物を目の当たりにして、若菜はさらに緊張する。
 ――これは、夢?
 いい夢か、あるいは悪い夢なのか、判断がつかない。

「……若菜」

 和臣は雄物をさらけ出したまま若菜の両手をつかんで無理やり左右に開く。

「ぁっ……」

 崩れた衿あわせからのぞく乳房を隠すものがなくなってしまった。和臣がそこを凝視している。先ほど彼は「いたたまれない」と言っていたが、それはこちらの台詞だ。

「み、見ないで、くださ……」

 なぜ言葉の最後まで言いきれないのだろう。極度の緊張と羞恥心のせいでうまく発声できない。

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posted by 熊野まゆ at 06:20| 御曹司さまの独占愛《完結》

2017年08月13日

御曹司さまの独占愛04


 見られている胸の部分が焼け焦げているように熱い。そんな錯覚を覚えてしまうほど熱心に見つめられている。

「ずっと、見たかった……きみの秘められたところを」

 そんな告白をされればよけいにカアッと熱がこもる。今度は胸だけでなく、全身に。手足の先を火でじわりと炙られているような感覚だ。
 彼の艶やかな黒髪がゆらりと揺れる。和臣は上体を低くして若菜のふくらみに顔を寄せる。

「あ……、やぁっ……!」

 間近でそこを見られるのはよけいに恥ずかしい。

(もう、お願いだから)

 ――見ないで、見ないで!
 しかし、心の中だけでそう叫んだところで伝わるはずがない。

「和臣、さま……や、ぅっ」

 彼がなにをしようとしているのかわからないけれど、これ以上は本当にだめだ。自分の気持ちに整理がつかないし、後戻りできなくなりそうで恐ろしい。

「僕はずっときみに恋い焦がれていた」

 乳頭のすぐそばで吐息を感じる。そんなところで話し始めないで欲しい。

(え、いま……恋い焦がれていた、って……おっしゃった?)

 聞き間違いか、あるいは幻聴なのではないか。ただの家事手伝いである自分が、彼に恋をされるはずがないと頭から思っているからだ。

「ああ……美味そうなつぼみだ」

 彼がなにを言っているのかわからない。この部屋には花のつぼみなんてないのに――。

「ひゃ、あぁっ!」

 ふくらみの先端が瞬時に凝り固まる。生温かいなにかがそこをねっとりと這った。

(舐め……られ、た!?)

 そう自覚すると、どうしてか下半身の奥のほうが疼いた。それは、手が届きそうで届かないというようなむずがゆさを伴った――いままでに経験したことのない、おかしな感覚だ。
 混乱する若菜をよそに和臣はなおも彼女の薄桃色を舌で刺激する。

「ぁ、ふ……っ、ぁあっ」

 自分の口からいかにもいやらしい声が出てしまいあせる。和臣の舌は乳頭の下部をくすぐるように右へ左へと蛇行する。

「んんっ、ぅ……!」

 彼はいったいどういうつもりなのだろう。

(和臣さまはどんな意図でこんなことを)

 乳首を舐めて、彼は楽しいのだろうか。若菜には和臣の気持ちを読み取ることができない。

「……楽しい」

 若菜がなにを考えているのかわかったのか、和臣はいったん舌を引っ込めてそう言った。

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posted by 熊野まゆ at 06:15| 御曹司さまの独占愛《完結》

2017年08月19日

御曹司さまの独占愛05


「……若菜は? 僕にこういうことをされるのは――嫌?」

 そう尋ねてきた彼の声はやけに弱々しかった。いつもの――上品で控えめな雰囲気の中に見え隠れする、王者のような独特の覇気を感じない。

(嫌かどうかって……それは)

 もしも「嫌だ」と告げたら彼はどうするのだろう。顔を上げて、互いの着物の衿を正して、何事もなかったかのように去っていくのだろうか。

「わ……わかりません」

 ――ああ、何てあいまいな答えなの。
 すぐに答えを出すつもりはなかった。それなのに、和臣が去ってしまうかもしれないと思ったら勝手に口から言葉が出ていた。

(私……嫌じゃ、ない?)

 和臣にはあらぬところをまさぐられているというのに、不思議と不快感はない。彼の指が、乾いているほうの乳頭をつんっと弾くと、えもいわれぬ快感がどこからか込み上げてくる。

「わからない、か――」

 和臣は苦笑して、薄桃色の丸い部分を象るように舌で円を描く。

「ふぁ、ぁあっ……!」

 若菜の体がビクビクッと跳ね上がる。つい先ほどまで、そんなところを舌で舐められるなんて――と思っていたのに、そうして舌で舐めまわされることでもたらされる快感が病み付きになってしまいそうだった。

(温かい……ううん、熱い? 和臣さまの舌)

 いただきには決して触れず、ざらついた舌は乳輪に沿ってぐるぐると周回している。
 一回、二回、三回――彼の舌が円を描くたびに脇腹のあたりがぞくぞくと疼いて粟立つ。
 ――この行為の意味はなに?
 考えても考えてもわからない。わからないのに、じれったさばかりが募っていく。

「はぅ、う……ッ」

 和臣は頃合いを見計らっているのか、上目遣いで若菜のようすをうかがう。彼女がもどかしそうにしているのを確かめたあと、尖りの部分をそっと舌でつついた。

「――ふぁあっ!」

頭の中で花火の玉が弾けたのかと思うほどの衝撃だった。全身をなにかで逆なでされているような錯覚に陥る。じらされていたからよけいにそう感じるのかもしれない。

(い、いまのは、いったい……)

 戸惑う若菜を和臣は立て続けに翻弄する。薄桃色の屹立を舌先で左右になぶってくすぐったかと思うと、歯を突き立てられた。しかし痛みはない。甘噛みされただけだ。

「ぁ、あ……っ、和臣さま」

 意味もなく彼の名前を呼ぶ。すると下半身のくすぶりが大きくなった。

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posted by 熊野まゆ at 07:20| 御曹司さまの独占愛《完結》


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