2018年06月01日

双鬼と紅の戯曲 第三章07


 もうこれ以上はないというくらいに気持ちがよくなるのに、彼の指が動くたびに快感は際限なくふくれ上がる。
 くちゅ、ぬちゅっという水音はどこから聞こえてくるのだろう。自分の体から発せられているような気がするが、実際に目で見て確かめる勇気はない。

(だって、極夜さまの指が……動くから、こんな音が出るのよね……?)

 脚の付け根の奥はどうやら指が入り込む隙があるらしい。
 勇気を振り絞ってちらりと下を見やれば、彼の指を体がのみこんでいるではないか。極夜の中指は付け根まですっぽり埋まっている。

(や、やっぱり……見なければよかった!)

 とんでもなく恥ずかしい上に、どうしてか極夜の指の動きが激しくなってしまった。
 ぐちゅぐちゅっと大きな水音が立って、内側をこすられる感覚がますます強くなる。そのことにばかり神経が集中する。
 粒になっているところをツンッと押されれば、絶叫してしまいたくなるほどの快感に襲われた。

「ふぁ、あっ、あぁ……!」

 止まらない喘ぎ声とともに快感がのぼりきって、ドクドクと脈づいたあとで引いていく。下半身がひとりでにピクッ、ピクッと小刻みに震える。
 極夜は鈴音のなかからゆっくりと指を引き抜き、自身の着物の裾をかきわけた。

「全部、ほしい……」

 熱に浮かされたように言葉をつむぎ、鈴音の両脚を左右に押し開く。
 極夜がなにをほしがっているのか、すぐにはわからなかった。
 できるすべてものを捧げたいから、抵抗なんてしない。
 ただ、とてつもなく大きな肉塊を脚の付け根に押し当てられたので、少しばかり怯んでしまう。
 極夜は確認するようにじいっとこちらを見つめてくる。
 怖いという思いはあったけれど、こくりとうなずく。
 すると、いっきに彼が押し入ってきた。

「アッ――……!」

 肉竿が体内を貫くにつれ、声を出すのもはばかられるような壮絶な痛みに見舞われる。
 極夜は眉根を寄せて、腰を進めるのをやめた。

「……痛むか?」

 ――痛い。けれど、彼とつながっている。
 いますぐ抜いてほしい。でも、彼の欲していることならば――最後まで応えたい。
 しばし葛藤したのち、鈴音は「平気です」と嘘をつく。
 極夜は小さな声で「すまない」と言って、肉の棒を押し進めた。鈴音の嘘に気がついている。
 肉茎を鈴音のなかにすべておさめると、極夜はしばらく動かなかった。
 彼が深呼吸をするものだから、こちらまで深い息になる。
 愛おしいものを包み込むように、彼の手のひらが頬に添う。撫でまわされると、まるで「愛している」とささやかれているようだった。
 それからどちらともなく、唇が重なった。

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posted by 熊野まゆ at 06:46| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年06月02日

双鬼と紅の戯曲 終章01


 白無垢に身を包んで極夜のとなりに座るのを――夢に見なかったわけではない。
 しかし実際にそういう場面になると、まるで夢のただなかにいるようだった。
 極夜と鈴音の祝言はふたりの想いが通じ合って間もなく執り行われた。極夜いわく、「周囲に早く知らしめたい」とのことだった。
 大広間に無数の四つ足膳が並んだ宴の席で、上座の近くに座っていた白夜はあぐらをかいて「ふう」と息をつく。

「まったく、やっと二人がくっついてくれて俺も一安心だよ。昔からけっこうお膳立てしてきたつもりなんだけどね?」

 そのかたわらにいるのは暁の二の姫、椿だ。「うんうん」といったようすで大きくうなずいている。ふたりともだいぶん酔いがまわっているようだった。

「ありがとうございます」

 鈴音はふたりに礼を述べたが、極夜のほうは酒を飲むばかりでなにも言わなかった。照れているのだと思う。

(私も極夜さまも……想いは隠していたつもりだから)

 しかし周囲にはずいぶんと前から知られていたようだ。当人たちが気づいていなかっただけなのである。
 鈴音はにっこりとほほえんで極夜の顔をのぞき込む。「恥ずかしいのですか?」と尋ねると、彼の顔はますます朱を帯びたのだった。



「――ん、極夜さま……」

 宴のあと、鈴音は極夜の寝所にいた。これからは毎夜、彼と褥《しとね》をともにする。

「おまえの白い肌には白い着物がよく似合う」

 言いながら、極夜は鈴音の体をうしろから抱き込み帯をゆるめていく。隙のできた衿合わせに手を入れ、乳房だけを外へ逃がす。

「ぁっ……」

 胸だけがさらけ出た恰好になってしまった。腕で前を隠すものの、極夜の両手は難なく乳房をつかみ、ぐにゃぐにゃと揉みしだきはじめた。彼の黒い紋付きの羽織が白無垢の袖とこすれあう。

「ゃ、んっ……んん」

 首すじを甘噛みされ、にじんだ血をすすられる。

「乳房を揉みながらの吸血は極上だ。……おまえはどうだ?」

 彼は前よりも口数が多くなった。いまは酒に酔っているから、よけいにそうなのかもしれないが。

(話をしてくれるようになったのはいいけれど……そういうことは、聞かないでほしい)

 鈴音が言いよどんでいると、極夜はふたたび「どうなんだ」と答えを急かしてくる。

「ん、あぅ……気持ち、いい……です」

 満足のいく答えを得たからか、極夜は口の端を上げてほほえむ。そうして笑んだまま、

「じつは……吸血のあとはいつもおまえの体をまさぐっていた」

 と告白され、鈴音は「へっ!?」と頓狂な声を上げながら彼を振り返った。

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posted by 熊野まゆ at 06:56| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年06月03日

双鬼と紅の戯曲 終章02



「すみずみまで……おまえに無断で、いじくりまわしていた。すまない」
「そっ……そう、なのですか」

 もしや、ときどき夢に見ていた淫戯は現実だったのでは――と思ったが、いまさらだ。いまさら気にしたところで、仕方がない。過ぎたことだ。

「愛している、鈴音」

 とびきり甘い声音でそうささやかれるものだから、快感が幸福感をともなって体と心に広がっていく。

「ん――」

 愛する人に体をまさぐられていたのだ。不快感はない。ただ、「すみずみまで」というのが恥ずかしいだけ。
 高まる気持ちとともに彼の手の動きも激しくなる。ひとりでに尖りきったいただきを複数の指がなぶりだす。

「ぁん、んっ……ふ、あぁ……!」

 胸の先をそんなふうにめちゃくちゃにされて恥ずかしいと思う反面、愛撫されるたびにそういった羞恥心が抜けていくので不思議だ。いや、気にならなくなるというほうがきっと正しい。彼の指戯に溺れている。
 極夜の指先は乳頭をなぶるのをやめ、今度はすりつぶすようにこねはじめた。まるで手遊びだ。
 そうして遊ばれていても、気持ちいいのには違いない。

「ひぁ、んっ……!」

 高い声を出すのにもすっかり慣れてしまった。口から自然と嬌声がこぼれでる。同時に、脚の付け根がムズムズしてくるのもおなじみだ。
 極夜は鈴音がもどかしそうにしているのを見て、すかさずそこへ右手を向かわせた。
 真っ白な着物の裾を何枚もかきわけて、秘された小さな口を手探りする。

「ああ、ほら……もうこんなに濡らして」

 隘路の浅いところに溜まっていた蜜を指で外へとかきだされる。

「んんっ、ゃっ……あ、あぁっ」

 はじめてそこを指でまさぐられたときはあせりやおそれがあったけれど、いまは腰を揺らして悦ぶばかりだ。
 極夜は鈴音の蜜洞の最奥まで指を挿し入れて、湿り具合を確認したあとで「すぐにでも入りそうだ」とつぶやいた。
 その言葉にますます官能を刺激されて鈴音は身もだえする。

「ほしいか?」

 問われ、すぐにでも首を縦に振りそうになったが、はしたないという思いが待ったをかけて返事をためらわせる。

「ふっ……ぅ、んぅ」

 鈴音が返事をせずとも極夜は彼女の着物をめくり上げて、つながる準備をする。
 準備万端になったところでふたたび尋ねられた。いや、決めつけられた。

「次から次に蜜があふれてくる。口で言わずとも、体がほしがっている」
「ん、あぁ……ッ!」

 腰を引かれ、うしろから硬直で貫かれる。
 もうそれ以上はいけないというところまでいっきにやってきたが、濡れすぎた狭道は快感しか生まない。

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posted by 熊野まゆ at 06:51| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年06月08日

双鬼と紅の戯曲 終章03【完】



 奥まったところをズン、ズンッと何度もつつかれる。

「ひぁ、あっ……! ん、はぅっ」

 脳天にまで響く勢いで突かれているが、前へ倒れてしまわないのは乳房ごと体をつかまれ支えられているからだ。
 極夜の大きな手のひらが乳房を下から持ち上げるようにしてたぷたぷと揺らし、腰を打ちつけてくる。
 円を描いて内側をかきまわされる。ぐちゅ、ぬちゅっとひときわ大きな水音が立った。

「は、ん……っ、だめ……あ、あぁ……!」
「もう、だめなのか? 俺はまだ足りない……」

 極夜は隘路のはじめから終わりまでをゆっくりと時間をかけて陰茎で往復する。そうして愉しみを引きのばす。
 しかしこちらとしてはたまらない。

「やっ……! 極夜さま……あ、んん……っ」

 肉襞をこする雄棒は硬く太く、いつだって存在感がありすぎる。それなのにじれったい動きをされると、高みへと昇っている途中で待ったをかけられている心地になり、じつにもどかしい。

「鈴音は、これが好きだろう? うしろから突かれながら乳房と豆粒をいじられるのが」
「ひゃっ!! あ、あぁあッ」

 極夜の左手が乳頭を押し上げ、右手が下半身の珠玉をギュッとつまむ。

「あぁっ、それ……やぅ、ん……!」

 鈴音が首を横に振っても、体は悦びをあらわに秘所を尖らせて快感を訴える。

「ほら、こんなに硬くして……」

 うっとりとしたようすでそう言って、極夜は鈴音の肩に浅く牙を当てて血を吸う。そのあいだも律動はやまない。肉棒を緩慢に前後させ、鈴音をよがらせる。

「んん、ふぅっ……」

 ゆるやかな動きにじれったさを感じるようになってきた。それは彼も同じなのか、しだいに抽送が速さを増す。
 そうして最後には全身がガクガクと大きく揺れるほどになり、喘ぎ声が止まらなくなる。

「あぁあ、あ――……!!」

 鈴音が泣き叫ぶような嬌声を上げると、極夜の一物はドクドクと打ち震えて鈴音のなかに精をばらまいた。
 極夜が鈴音の背に覆いかぶさる。彼を支えきれず、鈴音は畳の上に突っ伏した。
 ふたりとも呼吸が荒い。重なりあう体もそうだが、すべてがまざりあってしまいそうだった。
 ちゅ、と柔らかい唇が頬に触れる。極夜は何度も頬に口づけてくる。
 ゆっくりと顔を横に向けると、唇同士が重なった。
 ずいぶんと長いこと唇を合わせていた。
 ろうそくの薄明かりに照らされた彼の顔はとても穏やかだった。
 瞳がしだいに紅を帯びてくる。彼の情欲にふたたび火がつくのを感じて、鈴音もまた彼の瞳と同じ色に染まった。

おわり

お読みいただきありがとうございました!
熊野まゆ

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posted by 熊野まゆ at 07:22| 双鬼と紅の戯曲《完結》


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