2018年06月02日

双鬼と紅の戯曲 終章01


 白無垢に身を包んで極夜のとなりに座るのを――夢に見なかったわけではない。
 しかし実際にそういう場面になると、まるで夢のただなかにいるようだった。
 極夜と鈴音の祝言はふたりの想いが通じ合って間もなく執り行われた。極夜いわく、「周囲に早く知らしめたい」とのことだった。
 大広間に無数の四つ足膳が並んだ宴の席で、上座の近くに座っていた白夜はあぐらをかいて「ふう」と息をつく。

「まったく、やっと二人がくっついてくれて俺も一安心だよ。昔からけっこうお膳立てしてきたつもりなんだけどね?」

 そのかたわらにいるのは暁の二の姫、椿だ。「うんうん」といったようすで大きくうなずいている。ふたりともだいぶん酔いがまわっているようだった。

「ありがとうございます」

 鈴音はふたりに礼を述べたが、極夜のほうは酒を飲むばかりでなにも言わなかった。照れているのだと思う。

(私も極夜さまも……想いは隠していたつもりだから)

 しかし周囲にはずいぶんと前から知られていたようだ。当人たちが気づいていなかっただけなのである。
 鈴音はにっこりとほほえんで極夜の顔をのぞき込む。「恥ずかしいのですか?」と尋ねると、彼の顔はますます朱を帯びたのだった。



「――ん、極夜さま……」

 宴のあと、鈴音は極夜の寝所にいた。これからは毎夜、彼と褥《しとね》をともにする。

「おまえの白い肌には白い着物がよく似合う」

 言いながら、極夜は鈴音の体をうしろから抱き込み帯をゆるめていく。隙のできた衿合わせに手を入れ、乳房だけを外へ逃がす。

「ぁっ……」

 胸だけがさらけ出た恰好になってしまった。腕で前を隠すものの、極夜の両手は難なく乳房をつかみ、ぐにゃぐにゃと揉みしだきはじめた。彼の黒い紋付きの羽織が白無垢の袖とこすれあう。

「ゃ、んっ……んん」

 首すじを甘噛みされ、にじんだ血をすすられる。

「乳房を揉みながらの吸血は極上だ。……おまえはどうだ?」

 彼は前よりも口数が多くなった。いまは酒に酔っているから、よけいにそうなのかもしれないが。

(話をしてくれるようになったのはいいけれど……そういうことは、聞かないでほしい)

 鈴音が言いよどんでいると、極夜はふたたび「どうなんだ」と答えを急かしてくる。

「ん、あぅ……気持ち、いい……です」

 満足のいく答えを得たからか、極夜は口の端を上げてほほえむ。そうして笑んだまま、

「じつは……吸血のあとはいつもおまえの体をまさぐっていた」

 と告白され、鈴音は「へっ!?」と頓狂な声を上げながら彼を振り返った。

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posted by 熊野まゆ at 06:56| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年06月01日

双鬼と紅の戯曲 第三章07


 もうこれ以上はないというくらいに気持ちがよくなるのに、彼の指が動くたびに快感は際限なくふくれ上がる。
 くちゅ、ぬちゅっという水音はどこから聞こえてくるのだろう。自分の体から発せられているような気がするが、実際に目で見て確かめる勇気はない。

(だって、極夜さまの指が……動くから、こんな音が出るのよね……?)

 脚の付け根の奥はどうやら指が入り込む隙があるらしい。
 勇気を振り絞ってちらりと下を見やれば、彼の指を体がのみこんでいるではないか。極夜の中指は付け根まですっぽり埋まっている。

(や、やっぱり……見なければよかった!)

 とんでもなく恥ずかしい上に、どうしてか極夜の指の動きが激しくなってしまった。
 ぐちゅぐちゅっと大きな水音が立って、内側をこすられる感覚がますます強くなる。そのことにばかり神経が集中する。
 粒になっているところをツンッと押されれば、絶叫してしまいたくなるほどの快感に襲われた。

「ふぁ、あっ、あぁ……!」

 止まらない喘ぎ声とともに快感がのぼりきって、ドクドクと脈づいたあとで引いていく。下半身がひとりでにピクッ、ピクッと小刻みに震える。
 極夜は鈴音のなかからゆっくりと指を引き抜き、自身の着物の裾をかきわけた。

「全部、ほしい……」

 熱に浮かされたように言葉をつむぎ、鈴音の両脚を左右に押し開く。
 極夜がなにをほしがっているのか、すぐにはわからなかった。
 できるすべてものを捧げたいから、抵抗なんてしない。
 ただ、とてつもなく大きな肉塊を脚の付け根に押し当てられたので、少しばかり怯んでしまう。
 極夜は確認するようにじいっとこちらを見つめてくる。
 怖いという思いはあったけれど、こくりとうなずく。
 すると、いっきに彼が押し入ってきた。

「アッ――……!」

 肉竿が体内を貫くにつれ、声を出すのもはばかられるような壮絶な痛みに見舞われる。
 極夜は眉根を寄せて、腰を進めるのをやめた。

「……痛むか?」

 ――痛い。けれど、彼とつながっている。
 いますぐ抜いてほしい。でも、彼の欲していることならば――最後まで応えたい。
 しばし葛藤したのち、鈴音は「平気です」と嘘をつく。
 極夜は小さな声で「すまない」と言って、肉の棒を押し進めた。鈴音の嘘に気がついている。
 肉茎を鈴音のなかにすべておさめると、極夜はしばらく動かなかった。
 彼が深呼吸をするものだから、こちらまで深い息になる。
 愛おしいものを包み込むように、彼の手のひらが頬に添う。撫でまわされると、まるで「愛している」とささやかれているようだった。
 それからどちらともなく、唇が重なった。

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posted by 熊野まゆ at 06:46| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年05月27日

双鬼と紅の戯曲 第三章06


 胸のつぼみをいじる手はそのままに、もう片方の手がするすると肌の上を滑って脚の付け根へ向かう。
 太ももの内側をさすられるものだから、くすぐったくなってもじもじと内股を動かした。
 大きな手のひらが茂みのあるほうへと伸びていく。

「ン……ふぅ……」

 彼がなにをどうするつもりなのかまったくわからない。ただ、ふだんは秘めている恥ずかしい箇所を暴かれるのでは、という漠然とした思いがあった。
 極夜は浅い茂みを指に絡めたあと、人差し指をすうっと振り下ろして裂け目を撫でたどった。

「んんっ!」

 触れられた箇所から甘い快感が生まれて頭のほうへ駆け上がってくる。
 他人には見せない秘めやかな箇所に触れられることで実感する。彼の気持ちまでも自分に向いているのだと思うと嬉しくて涙腺が熱くなる。
 ふと極夜が薄桃色の棘を舐めるのを中断した。

「あふれている」

 そうつぶやき、ふたたび乳頭を舐めしゃぶる。

「ふ、うぅ」

 彼といろいろな話をしたいと思っていたけれど、こうして一方的に聞かされるだけなのはなんだか恥ずかしい。

(よくわからないけれど……あふれている、っていうのはきっと淫らなことなのだわ)

 責められているわけではないと思う。だって、彼はどことなく嬉しそうだから。
 笑っているわけではない。嬉しい、と言ったわけでもない。それでも、長年一緒にいるからわかる。むしろいままで、なぜ彼の本心を理解できなかったのだろう。
 もしや好かれているのでは、と思うことは多々あったが――怖かったのだ。彼の気持ちを確かめることが。
 鈴音は極夜の背に腕をまわした。艶やかな黒髪を撫でまわす。

「ん――」

 鈴音の行動に驚いたらしい極夜が顔を上げる。薄茶色の瞳がわずかに朱を帯びていた。吸血のとき以外も瞳の色が変化するのだと、はじめて知った。

「嫌、でした……?」

 極夜はすぐに首を横に振る。何度もそうして、「嫌ではない」と訴えてくる。
 いままで遠慮して、できなかったことをたくさんしたい。
 もう決して、彼の紅い瞳から目を逸らさない。
 いつまでも見つめていたいし、見つめられていたい。

「愛しています」

 いままで伝えてこなかったぶん、想いが口からあふれだす。
 すると極夜は照れたようにほんの少し口角を上げた。そんな表情は新鮮で、自分だけに向けられたものだと思うとこちらまで顔がほころぶ。
 極夜は身を起こし、鈴音の唇をそっと塞ぐ。そのあいだも彼の両手は動き続けた。乳頭をいじり、蜜のあふれ口を指先がかすめ、その上にある豆粒に愛液を塗り込めていく。

「ん、んんっ……!!」


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posted by 熊野まゆ at 07:43| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年05月26日

双鬼と紅の戯曲 第三章05


 じらされているのだという感覚のない鈴音はわけがわからずひたすら身もだえする。
 くねくねと体をよじる鈴音から牙を離し、極夜は両手で薄桃色をつまみ上げた。

「あぁっ!」

 思いがけず大きな声が出てあせる。
 極夜はより近くで嬌声を聞こうとしているのか鈴音の口もとに耳を寄せている。

「あ、ぁっ……やぁ、あぅっ」

 はしたない声が出るのを止められない。極夜が乳頭を指でこねくりまわすせいだ。

「硬くなってきた……」

 ぼそりと言って、極夜は親指と中指でつまんでいた硬いつぼみを人差し指で柔肉へ押し込めるようにしてつつく。

「ンンッ……!」

 鈴音は顔を上げ、しかしすぐにうなだれた。彼が自分の乳頭をつまんでいるのをまじまじと見てしまい、羞恥心が体の端々から込み上げてくる。
 もうこれ以上のことはないと思いたい。しかし、そうはならない。
 極夜は鈴音の体を抱え上げるようにして畳の上に寝かせた。
 秘めるべきところを真正面から見られることになり、ますます恥ずかしくなる。
 鈴音に馬乗りになった極夜は恍惚とした表情でふくらみをつかみなおし、その手で先端を際立たせた。そこへ、おもむろに顔を寄せる。

「――ッ!」

 彼がなにをするつもりなのか気がついた鈴音は仰向けに寝転んだまま身をくねらせたが、そうしたところでなにが変わるわけでもない。
 極夜は薄桃色の棘をペロリと一舐めする。その瞬間、甘いしびれがどこからともなく生まれて脳天へと抜けていった。

「ぁ、あっ……あぁっ」

 極夜は胸の尖りを愛でるのに夢中のようだった。舌を這わせていないほうは指で押しひねり、鈴音をいっそう喘がせる。
 彼の舌がいただきに這うたび、指で押しつぶされるたびに下半身がドクッと脈づく。これはいったいなんなのだろう。なにかおかしなことが起こっているのでは、と不安になる。

(でも……気持ちいい)

 しだいに羞恥心が抜けてきた。乳首をいじられることに慣れてきた、というのを認めてしまうのは、それはそれで恥ずかしいけれど、その通りだ。彼の愛撫を心地よく感じている。
 もっとめちゃくちゃにしてほしい、などと思ってしまって始末が悪い。
 極夜は鈴音の秘めた要望に応えるように、舌と指の動きを激しくさせた。胸飾りを口に含んで吸い上げ、もう片方のそれは指先で素早くなぶり倒す。

「んぁっ、う……あぁ、んんっ!」

 いてもたってもいられずバタバタと脚を動かすと、体をわずかに覆っているだけの着物が衣擦れの音を奏でた。それがずいぶんと卑猥なものに思えて、また官能を煽られる。

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posted by 熊野まゆ at 06:51| 双鬼と紅の戯曲《完結》

2018年05月25日

双鬼と紅の戯曲 第三章04


「ん、くすぐったい……です」

 極夜は鈴音の耳たぶを舌でくすぐりながら、両手で体を撫でまわした。わき腹のあたりに手を這わせられるとよけいにくすぐったくなって、笑い出してしまいそうになる。

(くちづけだけじゃ足りない、っていうのは……)

 吸血しなければ気がおさまらないということだろうか。それにしては、極夜は耳たぶを食むばかりで血を吸おうとはしない。
 体を撫でまわしていた彼の手が、帯をゆるめにかかった。

(やっぱり、血が飲みたいのね)

 鈴音はされるがままだ。吸血されることには慣れている。彼に血を捧げるべく、日ごろから鉄分の多い食事を心がけている。
 帯が完全に解け、ストンと畳の上に落ちた。

(あ、あれっ……?)

 いつもなら帯はゆるめられるだけで、解かれはしない。
 羽織っている着物の衿合わせを襦袢ごと左右に広げられて肩から落とされれば、着物は肘のあたりまで袖を通しただけの半裸状態になる。
 乳房も、それから下半身の茂みもほとんど隠せていない。

「え――あ、あのっ!?」

 たんに吸血されるだけならここまで肌をさらす必要なんてない。なにかべつのこと――このあいだされたようなことがふたたびあるのでは、とようやく気がついた。

「足りない、と言った」

 だからいいだろう、と言わんばかりだ。極夜は鈴音の首すじをベロリと舐めあげ、豊かなふくらみをうしろからわしづかみにする。

「ぁ、っ……!」

 胸をつかまれるのははじめてではないが、とてつもない羞恥に見舞われる。頬にカッと熱がこもり、手足の先がジワリと汗ばんでくる。

「極夜、さま……っ」

 意味もなく彼の名を呼ぶことで羞恥心を紛らわそうとしていたのかもしれない。
 だが極夜は「鈴音」と呼び返してきた。よけいに恥ずかしくなって、鈴音は口もとを手で覆う。
 名前を呼び合うだけでこんなにも幸せな気持ちになれるなんて、知らなかった。涙があふれそうになる。
 極夜が大きく息を吸い込んだのがわかった。

「かぐわしい」
「……!」

 彼はどうしたのだろう。短い言葉ばかりだが、今日はいつもの倍以上に口数が多い。
 しかも、耳のすぐそばでかすれ声を出すのだ。本当にたまらない。
 極夜が首すじを舌でたどりはじめた。胸を揉む手つきも激しくなり、ときおりいただきをかすめる。

「んん、んぅ……っ」

 薄桃色の乳輪を指と指のあいだでフニフニと押されている。そこへ、首すじに牙を突き立てられた。
 もう、どこを意識すればよいのかわからなくなる。

「ふっ、う……ん、んぁ……!」

 吸血されることでいっきに恍惚境まで引き上げられる。しかし胸飾りをいじる指は緩慢で、吸血にしてもごく少量だ。

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posted by 熊野まゆ at 05:53| 双鬼と紅の戯曲《完結》


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