2017年12月02日

俺さま幼なじみとの溺愛同居16


 弘幸の部署に配属された週の金曜日。未来は彼に誘われて居酒屋へ赴いた。
 会社や自宅から近いところだが裏路地の奥まったところにあるそこは一見すると居酒屋とは思えない。ただの民家のように見える、いわば隠れ家的な店だった。

「ああ、きみか。佐伯くんのミライの嫁は」

 どこかで見たことのある、気のよさそうな小柄のおじさんに、店に入るなりそう言われて未来は面食らう。弘幸が慌てたようすで「社長っ」と言うのを聞いて未来もまたあせるのと同時に、なぜ社長に『弘幸のミライの嫁』と呼ばれたのか疑問も浮かぶ。
 社長の隣に弘幸、そのまた隣に未来が座る恰好でカウンター席に三人並ぶ。
 社長はもうだいぶん酔っ払っているらしく、顔が真っ赤だった。

「ここのところ佐伯くんはいつも言っていたよ。かわいがってる幼なじみがうちの会社に来るから、みんなで囲い込んで俺の嫁にするんだ、ってね」

 真っ白なお猪口になみなみと注がれた日本酒をあおりながら社長が言った。そういえば、まわりから就職先は弘幸の会社がよいと熱心に勧められた。
 社長は上機嫌で話し続ける。

「手を出すのをずいぶん長いこと我慢してるとも言ってたねえ」
「しゃっ、社長! もうそのへんで勘弁してください」

 弘幸は珍しくおろおろとしたようすで社長の徳利を手に取り、ニヤニヤとした面持ちの社長に酒のお代わりを注ぎながら何とか話題を変えようとした。しかし社長は弘幸をからうのが楽しいらしく、その後しばらくは弘幸が未来のことをどう言っていたのかを延々と語り続けたのだった。


 未来はその日、社長の聞き役に徹していたのでほとんど酒は飲まなかった。もともとお酒は強くない。
 居酒屋を出ると、夏を予感させる少し湿った風が?を撫でた。弘幸もまた今日はあまり酒が進んでいないようだった。終始慌てていたという印象だ。

「……いつから?」

 二人で並んで裏路地を歩きながら、前を向いたまま真剣な表情で未来は彼に尋ねた。いっぽう弘幸のほうは、バツが悪いそうに顔を歪めていた。

「おまえが高校生になったくらいから、かな……」

 社長の話によると、未来が親もとを離れて自立するまで待っていたという。

「でも、ほら……学生にはさすがに手、出せないだろが」

 彼の歩く歩調が心なしか早くなった。

「ガキの頃は妹みたいに思ってたのに……盆や正月に――久しぶりに会うたびにそうは思えなくなっていった」

 早歩きしたかと思えば急に立ち止まって、弘幸はくるりとうしろを向いた。彼と向かい合う。

「好きだ。一緒に住んでみて、ますます好きになった」

 湿った爽風が裏路地を吹き抜けた。新たな季節の訪れを予感させ、心を躍らせる。

「あー……やっぱ恥ずかしいな、ちゃんと言うの」

 弘幸は大きな手のひらで自分の顔を覆う。頬が赤いのはきっと酒のせいではない。この胸が大きく高鳴るのもきっと、酒のせいなんかじゃない。
 未来は大きく息を吸い込む。心の中にある想いを外へ出すための準備をする。

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posted by 熊野まゆ at 08:39| 俺さま幼なじみとの溺愛同居《完結》

2017年11月26日

俺さま幼なじみとの溺愛同居15


 しかし、氷枕と着替えを持って部屋に戻ってきてくれた彼に文句が言えるはずもなく、

「じゃ、おやすみ。何かあったら電話で呼べ」
「う、うん……ありがと」

 弘幸が出て行って、すっかり静かになってしまった部屋で未来は思う。

(いまさらそんなふうに気を遣われても……)

 いや、あまり一緒にいて彼に風邪をうつしてはいけないし。へんなことをされては困るし。これでよかったのだと自分に言い聞かせる。

(邪念は捨ててとにかく寝よう。休日のあいだに風邪を治さなくちゃ)

 週明けからは弘幸の部署に配属される予定だ。

(ヒロくんと一緒に仕事ができる)

 だから、初日から欠勤なんてしたくないのだ。
 未来は目を閉じる。まぶたの向こうに浮かぶのはスーツ姿の弘幸。本人がいなくても彼のこと考えてしまう。
 未来はふるふると首を横に振り、ごろんと寝返りを打った。


 幸い風邪は大事には至らず、週明けには熱も下がって無事に出勤することができた。

「時任さん、これ。10部ずつコピーしておいて」

 弘幸に名字で呼ばれるのがまず新鮮な上に、彼に仕事を頼まれると何だか嬉しい。未来は元気よく「はいっ」と返事をしてコピー機へ急いだ。
 午後からは資料整理だ。弘幸に連れられて未来は倉庫にいた。

「おまえ、具合はもう本当にいいのか?」
「はい、もうすっかりよくなりました」
「……いまは二人きりなんだから、敬語じゃなくてもいいだろ」
「二人きりだけど、会社なので」

 そう、二人きり。薄暗い倉庫の中には未来と弘幸しかいない。

(……なんか、妙に緊張してきちゃったな)

 妙に彼を意識してしまうというほうが正しいだろう。弘幸はスーツの上着を脱いでワイシャツの袖をまくり上げている。重い資料を棚の高いところに脚立もなしに並べていく。筋ばった腕がじつに男性的で、どぎまぎしてしまう。

「はー……やっと終わった」

 未来はつぶやき、汗ばんだ額を手の甲で拭う。

「佐伯主任、このあとは――」

 ちゅっ。振り向くとそこに彼の顔があって、唇が重なった。一瞬のことだった。

「……風邪は治ったんだからいいだろ」

 あまり唇を動かさずにそう言って、弘幸は椅子の背に掛けていたスーツの上着を手に取り羽織る。未来はいましがた口づけられたところを押さえながら言う。今日という今日はハッキリさせなければ。心のモヤモヤがいっこうに晴れない。

「ヒロくんっ。あのっ、どういうつもりでこんなことするの!?」
「会社では敬語なんじゃなかったか?」
「そ、それはそうですけどっ! ちょっ――」

 すたすたと倉庫を出て行ってしまう彼を、未来は困り顔でただ見送るしかなかった。

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posted by 熊野まゆ at 07:34| 俺さま幼なじみとの溺愛同居《完結》

2017年11月25日

俺さま幼なじみとの溺愛同居14


 私はいったいどうしてしまったのだろう。お尻を撫でられて恥ずかしいと思っていたのに、いまはそれをやめないで欲しいと思っている。
 弘幸はひときわ大胆に未来の尻を撫で上げたあと、そのまま手のひらを上へ移動させた。

「はー、だめだな……。おまえ、熱あるのに」

 うつ伏せの未来に覆いかぶさり、弘幸は彼女のようすをうかがう。

「触りだしたら止まらない」

 そんな声が聞こえたかと思うと、ふくらんでいる部分をつかまれた。そこはベッドとのはざまにあるから、ゆるくなった下着の中に無理やり手を潜りこまされている状態だ。

「ゃっ、ヒロくん……っ!」

 未来が血相を変えても、弘幸は手を動かすのをやめない。その柔らかさを確かめるようにぐにゃぐにゃと乳房を揉みしだく。

「……平気?」

 平気なわけない。ますます熱が上がる。

「眠っていいから」

 眠れるわけない。心臓がどきどきとうるさい。

「仰向けのほうが眠りやすいだろ」

 肩をつかまれて天井のほうを向かされる。こんな状態で眠れるわけがないのに、弘幸はどこまで意地悪なのだろう。
 紫色のブラジャーが腕から抜けていく。しかし胸を見られるということはなかった。弘幸がホットタオルを掛けてくれたからだ。体を拭く気は、一応あるらしい。
 弘幸は今度はタオル越しに未来の胸をつかみ、円を描くように揉みまわした。

「ぅ……ん、んぅっ……」

 そこはそんなに汗をかいていない。それは彼だってわかっているはずだ。それなのに執拗に乳房を揉みまわされる。しだいに胸の先が尖ってきた。

「……未来、わかる?」

 なにが、とは聞き返すまでもなかった。弘幸はタオルの上から乳輪をつまみ、際立った先端を見せつけてくる。

「触ったら硬いんだろうな、未来のココ」

 愉しげに笑い、弘幸は未来の乳頭をタオル越しにくにくにと踊らせる。

「やっ、う……ふぁっ」

 未来は弘幸の手首をつかむものの、何の妨げにもならない。恥ずかしいことの連続で何だかくらくらしてきた。それが熱のせいなのか、羞恥心のせいなのかわからない。
 ずずっ、とタオルが下のほうへずれ込む。もう少しで薄桃色の部分が見えてしまう。

「………」

 急に弘幸が手の動きを止めた。真顔でなにやら考え込んでいる。

「おまえ、ほんと熱い……。俺がこんなことしてたんじゃいつまでも治らないな。悪い、ゆっくり寝ろ」

 「パジャマは新しいのを持ってきてやるから」と付け加えて弘幸は部屋を出て行ってしまった。
 未来はポカンと口を開けたまましばらく動けなかった。

(ちょ、ちょっ……!)

 わなわなと唇が震える。彼が戻ってきたら文句のひとつでも言ってやろうと思った。

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posted by 熊野まゆ at 07:11| 俺さま幼なじみとの溺愛同居《完結》

2017年11月19日

俺さま幼なじみとの溺愛同居13


 弘幸は眉間のシワを深くして、

「だれかに見せるために着てんのか」

 低い声音で尋ねてくる。未来はぶんぶんと何度も首を横に振った。

「ち、ちがっ……う」
「じゃあなに?」

 クイッ、とブラジャーの肩紐をつまみ上げられる。かぁぁっ、と全身がますます火照る。

「……っ、女子力アップのためだよ!」
「女子力上げるんならまずパジャマからだろ」

 やっとの思いで答えたというのに真顔でツッコミを入れられ、未来はもう黙り込むしかない。

「未来ってほんと面白い」

 彼が眉尻を下げて穏やかに笑う。指でつまみ上げている、未来のブラジャーの肩紐に唇を寄せた。

「……いろいろと、たまらない」

 上見遣いで見つめられる。いったいなにがたまらないというのだろう。しかし問い返す余裕なんてない。いつの間にか背中にまわり込んでいた彼の手がブラジャーのホックをプチンッと静かに弾いた。

「やっ、ぁ」
「なんて声だよ。体を拭くだけだってだって言ってるのに」

 弘幸は未来の肩に口づけながら彼女のパジャマを完全に脱がせた。いま身につけているものはゆるくなったブラジャーと、透け感のある紫色のショーツだけ。

「ぜ、ぜんぶ脱ぐ必要ないでしょっ」

 未来は開き直り、何とかこの状態でとどめておこうとする。弘幸は一瞬だけ不満げに顔を歪めたが、「まあいいか」と言ってホットタオルを手に取った。

「……うしろを向いていてもいい?」

 視線をさまよわせながら未来が言うと、弘幸は小さな声で「うん」と返す。未来はごろんと寝返りを打ってベッドにうつ伏せになった。

「……なんだこれ、尻が丸見え」
「――あっ!!」

 しまった、墓穴を掘ってしまった。未来は慌ててショーツを押さえるものの、いまさらだ。

「なに、これを見せつけたかったわけ?」

 未来はぐりんぐりんと大きく首を横に振った。すると弘幸はにいっと笑って、透けたショーツ越しに未来の尻を撫で上げた。

「ふゎぁっ!」

 奇声と上げると弘幸はますます調子づいて、何度も何度もすりすりと尻を撫でる。割れ目になっているところをツウッと指でたどられると、生地越しの感触とはいえぞくりと全身が震えた。
 弘幸は右手で未来の尻を撫でながら、左手で彼女の背中をそっと拭き上げる。温かく湿ったタオルで背中を拭かれると、何でもないことなのに手足の先がぞくぞくとしびれた。
 きっと弘幸にそうされているせいだ。自分で背中を拭いたのなら、体はこんなふうに官能的な反応を示さない。

「……ん、ん」

 おかしな声が漏れ出てしまうのを抑えられず、そんな自分に戸惑う。

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posted by 熊野まゆ at 09:54| 俺さま幼なじみとの溺愛同居《完結》

2017年11月18日

俺さま幼なじみとの溺愛同居12


 弘幸はくすぐったそうにしている未来の顔をまじまじと見つめたあと、

「汗ばんでるな。ちょっと待ってろ」

 そう言って部屋を出て行ってしまった。

(ちょ、ちょっと……!)

 彼に舐められたところだけよけいに熱が上がってしまったのではないかと思う。首すじは焼け焦げたように熱く、甘いしびれを伴っている。

(何だか……ヒロくんには振りまわされてばっかり)

 いや、いろいろと世話にはなっている。しかしいつだって彼のペースだから、こちらとしては少し疲れてしまう。いまだって、突然部屋を出て行ってしまった彼が戻ってくるのを待ち焦がれている自分がいて、戸惑う。
 間もなくして弘幸は真っ白なタオルを片手に戻ってきた。

「体、拭いてやるよ」
「は――えっ!?」
「ハエなんていない」

 クスッと笑ってそう言いながら弘幸は未来の掛け布団を彼女の体から引き剥がす。

「おまえ、昔からクマ柄のパジャマだよな」

 ああ、また子どもっぽいと思われている。

「ほ、ほっといて……!」

 パジャマのことも、汗ばんだ体のことも放っておいて欲しかった。

(だって恥ずかしすぎる……っ)

 布団の中に隠れてしまいたいけれど、きっと弘幸がそうさせてくれないだろう。そもそも掛け布団は彼に剥ぎ取られて、いまや手の届かないベッド端に追いやられている。

「ほら、脱げ」
「ゃっ、やだ……本当にいいってば」
「いいんだな? じゃ遠慮なく」
「なっ、ちがうーっ!」

 バタバタと暴れる未来のパジャマの上着を弘幸がつかむ。

「あんまり暴れてると熱が上がるぞ。大人しくしてろ」
「うっ」

 弘幸に膝の上に馬乗りされ、未来は否が応でも暴れられなくなる。
 プチン、プチン。パジャマのボタンは上から順番に一つずつ外されていく。

「ちょっ、ほんとに、あの……ッ!」

 すぐにはボタンを留めなおすことができないから、せめてもの抵抗として上着の襟を押さえた。しかしそれもむなしく終わる。弘幸はパジャマの襟をひっつかんで無理やり左右に開いた。そうしてあらわになった未来の下着を見て、弘幸はしばし固まった。

「クマ柄パジャマのくせに……なんだ、この下着」
「……っ!!」

 未来が身につけているのは紫色のレースの下着だ。上下そろいのもので、ショーツに至ってはお尻の部分が透けている。そのショーツだけは何としても見られたくなくてズボンの腰もとをつかんでいたが、いぶかしげな顔の弘幸にズボンまでも引き下ろされてしまう。
 弘幸は今度は無言で未来の下着姿をまじまじと見ている。口を開けば憎まれ口ばかりの彼だが、無言だとよけいに恐ろしい。
 未来はあまり意味はないとわかっていても自分自身の体を腕で隠す。

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posted by 熊野まゆ at 06:42| 俺さま幼なじみとの溺愛同居《完結》


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